コスプレとはコスチュームプレイの略だが、ここで言及するのはおもにアニメやゲームのキャラクターの衣装を着てなりきる行為であり、その人達を指してコスプレイヤー(略してレイヤー)と称する。被写体として会場で注目を集めるだけでなく同好と知り合ったり、サークルを作ったり、撮影し合ったりする。やはり容姿に自信のある人が多めなので、ちょっとしたアイドルが発掘されるなど、コスプレのイベントも各地で開かれている。串田さんはそんなレイヤーを撮影するカメラ小僧、いわゆるカメコだった。そして、おじさんのいまもカメコを続けている。
実際、カメコもコスプレ会場の風物詩で、ぐるり囲んだカメラの放列にレイヤーさんがポーズをとる。レイヤーの方々はセミプロ級の方もいるし、実際に雑誌でグラビアをこなすプロもいる。しかし串田さんはそういう“有名人”や“囲み”には興味がない。
「狙いは素人レイヤーだからね。隙だらけだからいろいろ撮りやすいし、若い子が多い」
串田さんの言う“素人”は別にプロとアマチュアの境目のことではなく、イベント慣れしてない、被写体スレしてない女の子のことだ。そういう子は未成年も多いし、衣装もそれなり、露出の多い格好をしてもガードが甘い。串田さんは20年間、そんな子たちを狙い続けている。盗撮ではないが、レイヤーに断りのない撮影だったり下着や胸元が写るアクシデントを狙ったりと限りなくグレーであり、イベント的にはマナー違反、できれば積極的に来場してほしくないと思われている存在だ。
「最前線のドキドキ感は最高だね。ワキ、尻、股間はもちろん、顔のアップも狙う」
まるで戦場カメラマンみたいな言い方だが、撮ろうと狙うのは極端な構図が多く、眉をひそめたくなるようなものも含んでいる。昔からこんな感じで46歳。もちろん独身で、現在とくに仕事はしていない。
つまり、串田さんは無職46歳の素人レイヤー狙いのカメコである。
「最近はタレント気取りのレイヤーばっかりでうんざりだね。だからそういうのが中心のイベントは行かない。やっぱりウブな10代の子はコミケに多い。コミケが勝負。あとワンフェスかな、あっちは規制がゆるいから」