国内

カメラと生きる46歳の子供部屋おじさん「無敵だからね、俺」

コスプレイヤーをカメラがぐるりを囲む様子がコミックマーケット名物になって久しい(時事通信フォト)

コスプレイヤーをカメラがぐるりを囲む様子がコミックマーケット名物になって久しい(時事通信フォト)

「好きなことで、生きていく」とは、2014年に人気YouTuberが出演したCMで使われた言葉だ。自分が趣味とするもの、好きなことで生きるという人生の歩み方は、YouTuber出現よりも前、1990年代の若者たちも選び始めていた。それは、彼らが社会に出る時期と就職氷河期が重なったがゆえの、実際は消極的な選択だったかもしれない。その後、好きなことで生きているが、何か違う大人になったという思いも消えない。鬱屈した彼らを「しくじり世代」と名付けたのは、『ルポ 京アニを燃やした男』著者の日野百草氏。今回は、好きなことだけして生きている46歳のカメラマニア男性についてレポートする。

 * * *
「汗かいちゃった、もうだくだく」

 串田明夫さん(仮名・46歳)は私の知る串田さんのままであった。汗を吸ったバンダナ、チェックシャツにベスト、靴は某タイヤメーカーのロゴが誇らしく刻まれた靴。串田さんはぶれない。私と知り合った20年前から、そのファッションが変わることはない。自転車で来るのもいつものこと、免許のない串田さんは自転車でどこへでも行く。串田さんの実家は足立区の北部だが、待ち合わせはここ秋葉原。串田さんにとってこの程度、普通である。見かけによらない甲高い声も変わらない。

「でね、日野さん。これ新しいカメラ。冬コミはこいつが主力でいくよ」

 年末のコミックマーケットへの意欲を語りながら、バッグからカメラを取り出す。これもいつもどおり。彼はいつでもカメラを持っている。スマホの内蔵カメラではプライドが許さない。なかなかのデジイチ(デジタル一眼カメラ)だ。

 串田さんはカメラマニアである。私と出会ったころは20代、カメラ小僧だったが、いまはカメラおじさんか。カメラと言っても芸術やスポーツの分野ではない。被写体はコスプレイヤーで、コスプレ撮影一筋だ。イベントではメインだけでなくサブのカメラもぶら下げ、かつてはバズーカ砲のような望遠を何本も持って行った。

「最近いろいろうるさいからね、なるべく望遠は使わないよ」

 1990年代、私もかつて仕事で何度もコスプレに関わる取材をした。主にコミケで、もちろんコンプティーク編集部としてコミックマーケット準備会に正規のプレス申請をした、健全なコスプレ撮影である。もう26年も昔、会場が晴海の東京国際見本市会場だった時代である。当時はコスプレイヤーのみなさんから簡単に掲載許可がとれた。むしろ掲載してくれと頼まれることのほうが多かった。いまは時代が違うのか、個人情報に敏感なのだろう、プレスでも断られることも多く、むしろ敬遠されることもあると聞く。

関連記事

トピックス

多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
麻薬密売容疑でマグダレナ・サドロ被告(30)が逮捕された(「ラブ・アイランド」HPより)
ドバイ拠点・麻薬カルテルの美しすぎるブレイン“バービー”に有罪判決、総額103億円のコカイン密売事件「マトリックス作戦」の攻防《英国史上最大の麻薬事件》
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン
政治学者の君塚直隆氏(本人提供)
政治学者・君塚直隆氏が考える皇位継承問題「北欧のような“国民の強い希望”があれば小室圭さん騒動は起きなかった」 欧州ではすでに当たり前の“絶対的長子相続制”
週刊ポスト
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』主演の中井貴一と小泉今日子
今春最大の話題作『最後から二番目の恋』最終話で見届けたい3つの着地点 “続・続・続編”の可能性は? 
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一
《どうなる“新宿DASH”》「春先から見かけない」「撮影の頻度が激減して…」国分太一の名物コーナーのロケ現場に起きていた“異変”【鉄腕DASHを降板】
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン