だが、今まで“事務所独立は芸能活動に不利”という論調だった『報知』がこう書いている点は見逃せない。
〈中居の全レギュラー番組は続投となった。退所後に地上波から姿を消した「新しい地図」の3人の時とは、あまりに対照的だ。(中略)“現状維持”は3人の時を含めて「圧力」とも取られかねない言動によってイメージダウンや反発を避けるジャニーズの狙いもにじみ出る〉(同日付)
たしかに、同じ記事内で〈中居正広というタレントの大きさ、またジャニーズ事務所の大きさがあったからこそ実現したといえる。今後、同様のケースで独立するタレントが出る可能性は低い〉と所属タレントへの牽制のようにも読める部分もある。しかし、〈イメージダウンや反発を避けるジャニーズの狙いもにじみ出る〉とこれまでにない一歩踏み込んだ記述は特筆すべきだろう。
昨年7月の公取委の調査、数年来にわたるネットなどを通じた視聴者やファンの訴えが徐々にスポーツ紙の論調を変えつつあるのかもしれない。
●文/岡野誠:ライター。著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)は、鈴木智彦著『サカナとヤクザ』、山田ルイ53世著『一発屋芸人列伝』などとともに『本の雑誌』2018年ノンフィクション部門ベスト10入り。同書では田原のジャニーズ独立前後の報道の変化、田原とジャニーズ共演NG説なども事細かに検証している。