◆麻生は「風邪よりちょっと重い」
もっとも新型コロナ対策が後手に回り続けてきたのは、厚労省や和泉―大坪ラインのせいばかりではない。厚労省の幹部職員が説明してくれた。
「日本政府は当初、コロナを軽視するような発言をしてきました。麻生(太郎)財務大臣なども国会で『風邪よりちょっと重い病気』なんて言っていたように、インフルエンザより感染力が弱く、致死率はSARSと比べて格段に低いと強調し、騒ぎを広げないようにしたのです」
日本は中国と異なり、医療体制が充実しているから、あそこまで悲惨なことにはならない。政府はそう喧伝し、マスコミに登場する医療関係者も「さほどの重大事にはならない」と政府の方針をサポートしてきた。
その上で2月17日、政府は帰国者・接触者相談センターに相談する目安として、「風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合」とした。厚労省幹部に聞くと、そこには次のような本音が隠されているという。
「すでに日本には1万人規模の感染者がいるという分析もあり、皆が病院に行ってPCR検査を受ければパニックになる。検査で陽性になれば隔離・入院を義務付けてきたため、医療崩壊につながりかねない。だから行政検査として保健所でストップをかけ、さらに帰国者・接触者外来以外の検体採取を受け付けないようにしたのです」
つまるところ、そうして感染者が自宅で自然治癒してくれれば、そのうちコロナ騒ぎが収まるだろうという安易な発想だ。東京五輪を控えた見た目の感染者を減らそうと隠蔽政策をとってきたわけだ。が、それでも増え続けた。