◆クルーズ船にスイーツ
で、今度のコロナ対策では、和泉の覚えめでたい大坪が厚労省の官房審議官として前面に出て仕切ろうとしたのである。だが、これが初めの躓きだった、と先の政府関係者が打ち明ける。
「大坪さんは、日頃、常に和泉さんの威光を借りて物事を進めてきました。今回もご自分の出身である感染研の医師たちを対策本部や専門家会議に入れて動かそうとした。官房審議官として意気揚々と記者会見に臨んだのですが、それに文科省をはじめ、身内のはずの厚労省まで反発した。彼女を巡る不祥事が次々と表に出るのは、和泉―大坪ラインにいいように牛耳られては耐えられない、という官僚たちの不満があるせいです」
健康・医療戦略室の担当大臣は菅から2014年に甘利明へと代わり、2019年からは二階派の竹本直一・IT担当相が就任している。二階と菅の密接な関係もあり、菅―和泉―大坪ラインは崩れていないが、担当大臣の竹本がまた頼りない。
参院予算委員会で立憲民主の石橋通宏議員が「竹本大臣、何かやっておられますか」と問うと、「関係省庁と連絡して議論していきたい」と答弁が迷走。その後3月9日になり、コロナ対策費として45億円の予算を組んでいると答弁をやり直したが、大臣として当事者能力が欠如しているのは明らかだ。別の政府中枢幹部が打ち明ける。
「いまや縦割り行政の打破とは名ばかり。健康・医療戦略室は逆に厚労、文科、経産が大坪女史に対する不平を訴え、それぞれバラバラに動いています。それがコロナ対策にも表われ、まとまりがつかないのです」
官邸主導といいながら、内実はガバナンスがなっていない。というより、政権の内輪で反目し、権勢を競い合っている。
「もともと健康・医療戦略室は、今井秘書官の肝煎りで経産省の提唱したアイデアです。それを菅―和泉―大坪ラインに牛耳られてきたので、今井さんとしては面白くない。和泉さんとの不祥事に塗れた彼女が、総理の目の前でコロナ対策の説明をしようとすると、『君は下がれ』とまで言う始末でした。
挙げ句、大坪さんは記者会見に出られないよう、(クルーズ船の)ダイヤモンド・プリンセスの船内で仕事をするようになりました。だが、張り詰めた仕事場にスイーツなどを持ち込んで浮いてしまい、『週刊文春』にそのあり様がすっぱ抜かれてしまいました」