◆中国に近過ぎた男
“首相の振付師”と異名をとる秘書官の今井にも、かなり問題がある。台湾は2月6日に中国全土からの入国を規制。台湾に比べて日本の対応が遅れた理由については、4月に国賓として来日する予定だった中国国家主席の習近平を気遣った結果だとされる。それも、あながち的外れとはいえない。
日本政府は、中国の新シルクロード「一帯一路」構想に全面協力しているせいで、新型肺炎対応の遅れをとったイタリアと似たような状況かもしれない。外務省の慎重姿勢を覆し、一帯一路構想への協力を進めてきたのが、今井にほかならない。
韓国などと比べPCR検査の少なさも指摘された。政府は今になって1日4000件から7000件の検査が可能としたが、帰国者・接触者外来でしか検体を採取できないのは変わりない。いまだ政府が管理しようとしている。
しかし、まともに検査すれば感染が急増するのは自明であり、現実にそうなっている。すべての対策は、読みが甘いという以外に言葉が見当たらない。あるいは遅きに失した感が否めない。
自民党内ではコロナが問題になり始めた当初、「これで桜を見る会問題が吹っ飛んだ」という不謹慎な声まで飛び交っていた。それだけ政権が緩んでいた証左だろう。
深刻化する国内の新型肺炎の状況説明も、政府会見も加藤厚労相に任せっきりだった。挙げ句、首相のリーダーシップを疑問視され、2月27日に打ち出した政策が小中校の全国一斉休校にほかならない。インパクトのある政策を発表しなければならない、という焦りとともに、子供を守るといえば、主婦層のウケがいいと安易に考えたのではないか。