過去の“不穏な空気”が蒸し返される
そんなタイミングで持ち上がったのが、冒頭の騒動だった。俎上に載せられたのは、4月8日発売の『文藝春秋5月特別号』の記事だ。
「2003年に国賓として来日したメキシコ大統領夫妻に対し、上皇陛下(当時の天皇)が雅子さまだけを大統領夫妻に紹介されなかった、という内容でした。2014年にも同様の内容が『週刊文春』で報じられ、宮内庁が事実無根だと抗議した経緯があります。今回も西村長官は“到底起こりえない”と強く否定しました」(前出・宮内庁関係者)
長官の遺憾表明は、宮内庁担当記者からの質問に答えるものだったという。それでも、20年近く前のことながら過敏に反応したのは、その前日に、雅子さまが久しぶりの外出公務にお出ましになったことと無関係ではないだろう。
4月13日、雅子さまは天皇陛下とご一緒に、帝国ホテル(東京・千代田区)へと足を運ばれた。日本国際賞の授賞式で、ロイヤルブルーのスーツ姿の雅子さまは、受賞者に対して壇上から拍手を送られた。
「雅子さまにとっては、約8か月ぶりの外出公務でした。コロナ禍以降、公務が減ってしまったことでペースがつかみにくく、ご体調を整えるのに苦慮されたこともあったそうです。実際、昨年の愛子さまの成年行事の初日や、今年の講書始の儀は欠席されました」(別の皇室記者)
その5日後の18日にも、パレスホテル東京(東京・千代田区)で開かれた「みどりの式典」に、若草色のスーツをお召しになって出席された。
「短い日付間隔での公務にもお出ましになれるよう、ご体調を整えられたのでしょう。雅子さまの公務に対する前向きな姿勢が伝わってきます。そんなタイミングで、事実かどうかは別として、過去の“不穏な空気”が蒸し返されること自体、雅子さまにとっていい影響があるとは思えません。
加えて、眞子さんの結婚や悠仁さまの高校進学にまつわる経緯、文学賞の佳作を受賞した作文の“コピペ問題”に端を発した秋篠宮家への逆風が強くなっているいま、皇室にとって数少ない希望の1つが雅子さまであることを、美智子さまは重々おわかりになっている」(前出・別の皇室記者)
それとなく雅子さまのご様子をお尋ねになった
皇室報道を巡っては、これまでにも宮内庁がさまざまな形で態度を示してきた。
「その背景には、天皇や皇族方の意図が色濃く反映されていることは言うまでもありません。特に美智子さまは、皇族おひとりの苦しみを、皇室全体の苦しみと捉え、寄り添おうとされてきました」(皇室ジャーナリスト)