さて、こうして芸人たちがプロレスを繰り広げた後に、あえて危険なシュート(プロレス用語で真剣勝負を指す)を仕掛けた人たちがいます。SMAPの香取慎吾と中居正広です。ふたりはタモリへ感謝の言葉を贈るコーナーで、明らかにバラエティを逸脱する、番組終了に対する怒りをむき出しにした発言をしました。
香取は、「そもそも、なんで終わるんですか?」とぶちまけ、中居は「バラエティは終わらないことを目指す。終わらなければならないことは非常に残酷」と断じました。
ふたりは『いいとも!』と並ぶフジの看板番組『SMAP×SMAP』を持っています。その彼らが公然とテレビ局批判をした。下手をすれば、自分たちの番組が終わるリスクを負いかねない発言です。
これはふたりにとって卒業式だったのかもしれません。レギュラーになった当初、何もできなかったふたりが、最後の最後で強制勇退させられる校長に向けて、自分たちの成長をアピールし、恩返しした。いいとも学校は解散したけど、その魂を引き継いだのは芸人ではなかったということです。
この2つの場面によって、『いいとも!』最終回はテレビのお葬式にふさわしいものになりました。
(樋口毅宏氏・談)
※週刊ポスト2014年4月18日号