「例えば“自分は彫りの深い顔立ちの北川景子にはなれないかもしれないけど、黒木華にはなれるかも”という近づきやすさがあると思います。石原さとみちゃんも人気ですが、彼女は唇の印象がすごく強い。でもそれを消さずに活かして、ぽてっとした唇に見合う目の大きさに作り込むわけでもなく、自然に良さを活かしています。
唇が魅力の人もいれば、頬がトゥルンとしてかわいい人もいますし、今は無理に作らず、それぞれの魅力のパーツを活かす流れ。吉高さんや多部さん、永作さんといった人気の女優さんたちは、わりと切れ長で日本人らしい顔立ちですが、作り込まない素の感じの魅力は、今の若い人たちにとって共感できるところが多いのだと思います」(前田さん)
また、ここ数年で口紅が進化し、リップアイテムが急増したことも影響していると前田さんは語る。
「今、アイテム的にマスカラよりもリップが人気なので、強調を持って行くところが目だけでなくなっているところもあると思います。流行の赤いリップも、目元まで濃いバッチリメイクではバランスが悪くなってしまうし“戦闘体勢”に見えてしまうので、目元は引き算が必要。顔立ちも和風顔のほうが映えてかわいらしいですし、いやらしさなく色気が出せるんです」(前田さん)
ファッションも今年はシースルーやチュール、レースといった透け感素材がトレンド。メイクを装いに合わせることも、おしゃれの秘訣であり、大事な大人のたしなみ。
「ふわっとシアーなお洋服にガッツリメイクは似合いません。足元もスニーカーが人気ですし、お洋服の流れからバランスを考えても、目元は『脱力系』になってきていると思います。洋服に合わせて、肌もセミマットで紗がかかったような仕上がりになっていますから、目元が濃くきつい印象ではちぐはぐしてしまいます。
肌のトレンドやアイテムのトレンド、そういうものをひっくるめて目元が弱くなってきている印象です。その延長線上で、ナチュラルな方向性で自分の魅力を打ち出している女性に人気が集まっているように思います。もうちょっと力を抜いててもいいんじゃない? という流れは空気感としてあると思います」(前田さん)