大河ドラマを巡っては過去にも同様の配慮がされてきた形跡がある。『花燃ゆ』の制作統括がプロデューサーを務めた『龍馬伝』(2010年放送)では、福山雅治演じる坂本龍馬の初恋の女性・加尾役を広末涼子が演じ、高杉晋作役に起用されたのが、かつて広末と交際し、破局した伊勢谷だった。
「2人の共演場面はもともと少なかったが、広末と伊勢谷の出番が重ならないようにしたといわれる。高杉のキャスティングをNHKが発表したのは、放送が始まって半年近く経ってから。主要キャストの多くは放送前年に発表されていたが、広末に出演を断わられないよう伊勢谷の出演発表を先延ばしにしたともいわれる」(NHK関係者)
『花燃ゆ』でも、伊勢谷の吉田松陰をはじめ高杉晋作、久坂玄瑞などの配役が発表されたのは2014年6月だったが、桂小五郎役として東山の起用が発表されたのは4か月遅れの同年10月だった。
2014年8月に萩市でロケが始まった際に報道陣の前で主要キャストが記念撮影したが、「そこで伊勢谷と東山が居合わせぬように気を遣ったのではないか」(前出の芸能プロ関係者)という見方まである。
NHKは「大河ドラマは、史実をもとにしたフィクションです」(広報局)と回答するだけで、伊勢谷と東山を同じシーンに出さないことにしているのかとの問いには答えなかった。
ドラマがフィクションであるのは百も承知だが、都合良く史実をねじ曲げる“歴史修正主義”は、ただでさえ「複数脚本家体制でストーリーがちぐはぐ」(前出・NHK関係者)といわれている大河の迷走に拍車をかけるだけではないか。
※週刊ポスト2015年6月19日号