最近では、『NEWS23』(TBS系)のキャスターに抜擢された雨宮塔子(45才)が、パリに住む元夫に2人の子供を預けて復帰したことを批判された。雨宮はそうした声に、雑誌『HERS』(光文社)のインタビューで、批判を重く受け止めながらも、子供が泣きながら「ママ、その仕事は絶対に諦めちゃダメだよ。私たちはパリにいたいけど、ママにはママの人生を生きてほしいから」と背中を押してくれたと説明した。
この背景には、日本とフランスの母親像の違いがある。離婚すればどちらかの親が親権を持つ日本と違って、フランスでは離婚後も共同親権で、平日は母と暮らし、週末は父と暮らす生活は当たり前。母である前にひとりの女性として、仕事やプライベートを充実させる考えが根づいている。日本は、そういった面でも大きく立ち後れているのだ。
それゆえ、女性をバッシングするのは、時代錯誤のおじさんより同性だったりする。「私だって子供を産まなかったらキャリアを積めた」「子供を放ったらかしたら、ああやって輝けるのに」──うらやむ思いが批判に転じる。「女の敵は女」なのだ。
しかしこの「女の敵は女」という言葉にも私たち女性はとらわれすぎているフシがある。『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』の著書がある作詞家・コラムニストのジェーン・スー氏(43才)が言う。
「否定的な女性のなかには境遇の差からの嫉妬や考え方の違いによる批判もあったかもしれないが、男性同士の意見の対立を“男の敵は男”とはいいません。この言葉の裏には、“女同士なのに助け合わないで足を引っ張り合う”という揶揄が含まれ、これ自体が男社会によるもの。だから女性は間違っても“女の敵は女”に乗っかってはならぬのです」
また、参議院議員の蓮舫氏(48才)は「日本では、叩かれる文化に女性がはまる」と言う。
確かに『ゲスの極み乙女。』の川谷絵音(27才)と不倫したベッキー(32才)は仕事に復帰したものの開店休業状態で、世間の目は冷たい。一方で謝罪会見を開いたファンキー加藤(37才)は「潔い」、三遊亭円楽(66才)も、「さすが話が面白い」などと賞讃までされた。
「男性って、“やんちゃ”“男だから仕方ない”という考え方で逃げ切れるけれど、女性は失敗すると叩かれ続けます。今、世界は女性に振れていて、英国でメイ首相が誕生し、東京都知事に小池百合子さんが当選し、有力閣僚に女性が選ばれています。だからこそ、今、最も怖いのは女性が失敗すること。今、女性が失敗したら“だから女は…”と元に振り戻される。その振り幅がものすごく大きいのです」(蓮舫氏)
胸が苦しくなったかたはここでひとつ、深呼吸をして先に進んでいただきたい。
※女性セブン2016年9月8日号