トランプ氏所有となったターンベリーGCは、ローテーションなら2019年の全英オープン開催予定になっていました。しかし2019年は、68年ぶりに北アイルランドのロイヤル・ポートラッシュGCで、行われることとなりました。誘致は地元のローリー・マキロイなどの尽力によるものです。そしてターンベリー外しは、中東・イスラム系のスポンサーがトランプ氏の差別発言に対し異議を唱え、暗躍したそうです。非常に高度な政治的駆け引きがあったのは間違いないでしょう。来年になれば、アメリカ合衆国大統領が英国を代表するコースのオーナーになるわけで、それがどう扱われるのか、注目したいです。
一方、安倍首相ですが、腕前はトランプ氏に劣りますが、ゴルフ外交では一枚上手に見えます。トランプ氏へのお土産は、50万円もするドライバーを持って行きました。本間ゴルフの「ベレスS-05」という、完全オーダーメードのドライバーだそうです。ただしオーダーするには時間がないので、すでに作ってあった中で、トランプ氏にマッチしそうなやつを持って行ったとか。
オバマ大統領の時は山形で作っているパターで、ちゃんと左利き用を作らせて持って行きました。ドライバーの方が豪華で派手なイメージがありますから、オバマさんより大事である感は演出できたのではないでしょうか。
そもそも日米ゴルフ外交の礎を築いたのは、安倍首相のおじいちゃん、岸首相です。昭和32年6月19日に、岸首相はホワイトハウスを訪ねます。そこでアイゼンハワー大統領は歓待し、午後の予定を聞きます。「空いている」と岸首相が言うや、「午後からゴルフをしましょう」と誘って来たのです。ワシントン郊外のバーニング・ツリーCCに到着すると、岸首相の体格に合わせたクラブのフルセットがちゃんと用意されていたとか。ふたりは、実に楽しい時間を過ごします。
安倍首相が、岸・アイゼンハーのゴルフ話をオバマ大統領に語ったエピソードは有名です。「ふたりのスコアは?」と聞かれて、安倍首相は「国家機密です」と冗談を言って湧かせました。その「国家機密」をバラしてしまうと、アイゼンハワー大統領のスコアが74で、岸首相は99だったそうです。これは、現状のトランプ氏と安倍首相の実力差のようにも映るんですけど…。安倍首相、もっと練習しないといけませんね。