●千葉真一(大友勝利役)
【もし、あいつ等が飯食えんようになったら、あんた等も飯食えんような体になってもらいますけん!】『広島死闘篇』
村岡組が警備を担当する競輪場において、大友一派は爆破などの行為を繰り返す。これを見かねた市議会は大友を説得するが、大友の答えは「わしンとこの若いもんにはレースで飯食うちょるもんも大勢おりますけんの」と、木刀を片手に聞く耳を持たないのである。
【わしらうまいもん食うてよ、マブいスケ抱くために生まれてきとるんじゃないの】『広島死闘篇』
梅毒で脳を侵され、シリーズきっての凶暴キャラである大友だが、その理論はどこか正鵠を射ている。シノギの不文律を父親に諭されても、「うまいもん食うてよ、マブいスケ抱くために生まれてきとるんじゃないの。それも銭がなけりゃできやせんので」と逆説教する。
●梅宮辰夫(岩井信一役)
【わしらタクシー屋のおっちゃんに用はないさかい、これから1人で歩いたらよろしいがな。でもええでっか。前向いても崖や、後ろを向いても崖やで!】『頂上作戦』
代理戦争でありながら、山守義雄の襲撃を決起しない打本昇(加藤武)に対し、岩井はしびれを切らして「あんた、タクシー屋のおっちゃんか」と皮肉を込める。「事業一本に絞りたい」と弱気な打本の返事に対し、岩井は「崖」の言葉を叩きつけた。
【そんな極楽は極道の世界にはないよ。人を喰わにゃァ、おのれが喰われるんで】『代理戦争』
岩井は盟友の広能昌三に対し、山守義雄組長を追い落として広島を手に入れたらどうかと提案。だが広能は「わしゃ呉で収まっとりゃええ」と静観。岩井は「そんな極楽は極道の世界にはない」と叱咤する。1文字違いの「極楽」と「極道」の大きな差だ。
【おんどれらも、吐いた唾飲まんとけよ】『頂上作戦』
「吐いた唾飲まんとけよ」とは、「いったん口にした言葉を忘れるなよ」という最後通牒である。幼かった娘・アンナが泣き叫んだという逸話を持つ、梅宮辰夫の「眉毛を剃り落とした異様な姿」が、セリフの凄味を増幅する。ケンカの常套句として今に継承されている。