子役時代から数えて芸歴27年の高橋は、これまで数々のドラマや映画、舞台に出演してきた。『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系、2000年)をはじめ、その時代の話題作にもたびたび登場することはあったが、ほとんどが脇役である。「苦労人」という一言で片付けるにはあまりにも長い“下積み”期間。それでも脇を固める俳優として地道に活動を続けてきた俳優人生が、あの声にあらわれているというわけだ。
“声イケメン”は一日にしてならず。とはいえ、20代と30代で声質がそう大きく変わるわけでもないのに、年齢を重ねるほどいい声に聞こえるのはなぜか。
「声のよさというのは、声質だけではありません。話すテンポや内容がよく、相手への気遣いがあること、そして聞き上手であること。それらがあって初めて、いい声に聞こえるのです。10代、20代前半は、やはり自分をわかってほしいという気持ちが前面に出やすく、空気を読む経験もない。そのためまだ『いい声だな』とは思われにくい。30代、40代になって、大人の話し方を身につけることで声の良さに気づかれるのです。
高橋さんの場合は、バラエティー番組などを見ていても、気遣いがあり本当に優しい。そしてあのクシャッとした笑顔からも人柄の良さが伝わってきます。複雑な家庭環境のことも一切隠すことなくオープンに話していて、素の自分もさらけ出している。知れば知るほど好感度が上がっていく俳優なのです」
大人の振る舞いができるからこそ、その人の声も魅力的に伝わる。つまり声イケメンは、“大人イケメン”でもあることが多いというわけだ。
「たとえば竹野内豊さん(46)、谷原章介さん(44)、玉木宏さん(37)、向井理さん(35)、斎藤工さん(35)などは、大人イケメンであり声イケメンと呼べる俳優さんたちでしょうね。皆さん話し方が穏やかで、優しく、丁寧で思いやりがある。高橋一生さんもここに加わったといえます。
いくら顔が良くても声が残念、話し方が残念だと、女性はがっくりきてしまいます。若いうちは気にならないかもしれませんが、年齢を重ねるにつれて声の重要性は高くなります。また、声は見た目と違って声は年を取りにくい。努力次第では、声優さんのようにずっと同じ声を出すこともできます。長く活躍するための武器の一つになるでしょう」