「私が探偵を始めた30年前は、お金持ちの箱入り娘からの依頼が多かった。“自分は何もできないので、主人の真実を調べてください”と。実際に夫の不倫が発覚しても、胸に秘めて耐え忍んでいました。ところが今は、“裁判を有利に進める証拠が欲しい”というケースばかり。慰謝料や親権、養育費を得るための証拠固めとしての依頼です。ドライな夫婦関係が増えた気がします」(社長)
スマホの普及やLINEをはじめとするSNSの発達で、昔より不倫の証拠集めが容易になった。昨今は証拠集めまで“DIY”(自分自身でやる)という女性が目立つ。
「依頼前に、ある程度の証拠を集めているかたが多い。プリクラやメールといった定番だけでなく、夫がパソコンでラブホテルを検索していた履歴や、カーナビの目的地履歴などを持ち寄る人もいるほど。昔より妻の情報収集能力が格段に上がりました」(社長)
冒頭の依頼人・A子さんは、まさにその世相を表す女性だった。結婚22年目の主婦で、大学1年生のひとり息子がいる。商社勤めの夫・B氏の不倫には3年前から薄々気づいており、これまで地道に証拠集めを続けてきた。
夫婦間の愛情はすでに皆無。子供がひとり立ちした時点で離婚の意思を固めており、“詰めの一手”として、ママ友から紹介された探偵会社に連絡したという。
「電話やメールで連絡をいただいたら、必ず1~2時間ほど面談して調査内容や対象者について深く話を聞きます。不倫調査なら、『異性との接点の確認』にとどめるか、『不貞行為の確認』や『不倫相手の特定』にまで踏み込むかで調査手段や値段が変わります。不貞確認の場合は“お泊まり”の現場を押さえる必要があり、日数がかかって費用が跳ね上がります」(社長)
調査員は徒歩と車かバイクの2人1組が基本。料金は1時間2万8000円で、3日間の調査でおおよそ40万円程度。調査員が1人増えるごとに1時間あたり1万2000円追加となる。A子さんは社長との面談で「不貞行為の有無」と「不倫相手の特定」を希望していた。
※女性セブン2017年8月10日号