「B氏の一連の行動は、裁判の証拠とするために車のリモコンキーに擬装したムービーカメラで撮影しています。以前は写真が主流でしたが、最近は動画や動画をキャプチャーした静止画が裁判の証拠として採用されるようになり、手軽に撮影できる“証拠動画”がメーンになりました」(中堅調査員)
2日目・6時00分/早朝から調査員が張り込みを始める。
7時15分/マンションからB氏がひとりで出てくる。このままB氏はホテルへ戻ると思われるが、この日のターゲットは女性のためB氏の行動は追わない。
8時20分/女性がエントランスに姿を現す。昨夜のワンピース姿とは打って変わってOL風の地味な装いだ。
9時29分/女性が地下鉄を乗り継ぎ、勤務先とおぼしきビルに到着した。女性の向かったフロアを確認すると、B氏の勤める商社の大口の取引先の会社だった。近辺で慎重に聞き込みをして、女性がこの会社の社員であることの裏付けを取った。ここで今回の出張調査は終了した。
「ほとんどの場合、相手は職場や取引先など、身近な人間です。なかには、妻に“単身赴任”と説明しながら、不倫相手と暮らす“別宅”を借りているケースもある」(社長)
A4用紙28枚の「調査報告書」を依頼人に渡して、仕事完了となる。
「最近は、夫の不倫の証拠を見せると“これで慰謝料が取れる”と喜ぶ妻が少なくない。逆に、依頼人が男性の場合はこちらもつらい。妻の不貞を知り、ショックで泣き崩れるかたが多いんです。依頼しながらも一縷の望みを持っているかたが多く、このあたりの反応に男女差を如実に感じます」(社長)
ちなみに細心の注意を払ったプロの調査でも時として対象者に勘づかれることがある。最も多いのは「依頼者バレ」だ。
「探偵の調査期間中、妻がやたらと外出を促したり、そわそわしてカーテンの間から探偵の車を何度も確認したりすると、“何かおかしい”と夫が不審感を持って勘づかれることが多い」(社長)
松居のような激情的なタイプは、探偵会社にとって最も“カモ”になりやすいと社長が指摘する。
「“夫は絶対に浮気している”と思い込むあまり、何か月も延々と調査を継続するかたが多いんです。3か月以上張り込みを続行し、費用が800万円にまでふくれあがった女性もいます」
※女性セブン2017年8月10日号