「2時間圏内ならどんな現場へも自分の車で行きます」と語る


「撮影規模も現場の雰囲気も全く違いますが、どちらも2時間ほどの面白い映画なんですよ。映画って、かけたお金に比例して面白いものができるものでもない。それに映画は世界中で上映されることもあります。それを理解した瞬間、“映画ってなんて面白いんやろう”って思いました」

 映画への熱い想いは尽きることがない。3月に日本公開された韓国映画『哭声/コクソン』(2016年)には、残虐な連続殺人事件が発生する村を舞台に、村人を恐怖に陥れていく“よそ者”で出演。迫真の演技が高く評価され、昨年11月、韓国最大級の映画賞である青龍映画賞で、外国人俳優として初の男優助演賞と人気スター賞を受賞した。

 今年11月4日公開のベルギー・フランス・カナダ合作映画『KOKORO』では、自殺を考えて日本海の断崖を訪れる人々にそっと寄り添い、心の傷を癒す元警官・ダイスケを演じている。日本だけでなく世界を舞台にさまざまな撮影現場を経験してきた國村だが、「どんな映画でも、現場に入るときの心づもりは全く変わらない」と話す。

「もちろん台本は読み込みますよ。でも、役というものは自分だけでつくるもんやない。現場で勝手に形づくられるものです。僕はひとりの被写体として映画に参加し、キャメラや照明、皆と一緒に作品をつくり上げていく。現場の違いがあるとすれば、監督の世界観だけ。『KOKORO』のヴァンニャ・ダルカンタラ監督と主演のイザベル・カレのふたりは、ともに穏やかな雰囲気の女性でした。現場に入ると僕もふたりと波長が合って、優しい雰囲気の映画に仕上がっています」

 デビューから41年。次々と新たな作品に挑み続ける國村だが、息抜きは愛車との時間。役者を目指す前は自動車のエンジニアになりたかったというだけあって、車の話になると目が輝き、自然と饒舌になる。撮影中は、車好きのカメラマンと話が盛り上がった。

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