2.三浦春馬 『オトナ高校』(テレビ朝日系)
『オトナ高校』で東大卒・エリート銀行員で童貞の“チェリート”くんこと荒川英人を好演した三浦春馬さん。イケメン俳優から一気に、「コメディアン」としての才能を開花させました。
身体はキレキレ、表情筋から足腰まで全身全霊を使って「奇妙な人物」になり切っていた。演じることの楽しさ、変わっていくことの嬉しさのようなものが三浦さんの全身から滲み出していて、観ているこっちもワクワク。チェリートくんの様子が清々しく三浦さんの新たな魅力を見せつけられました。今後の活躍がさらに楽しみです。
3.工藤阿須加 『明日の約束』(フジテレビ系)
DVに走ってしまった優等生的な和彦。工藤阿須加さんが『明日の約束』で見せたのも、新しい役者の鮮烈な姿でした。人間が持つ闇の深さ、潜めていた怖さというものを、とても印象的にえぐり出してくれたのです。恋人へのDVなんて、工藤さんのイメージから最も遠いものだった。それだけに、殻を破ろうとする意志と役者としての奥行きを感じました。
今後もさまざまに変身してくれそうな期待が膨らみます、と書いているさなかに嬉しいニュースが。2018年1月スタートの『海月姫』(フジテレビ系)では、「女性が苦手で一度もつきあったことがない政治家の息子」という風変わりな役に挑むらしい。工藤さんがこれまでまとってきた「青春」「透明感」「爽やか」といった既存のイメージを、どんどんうち捨てて変身していって欲しい。
その一方で、残念ながら変わりきれなかった人も。月9『民衆の敵』主演の篠原涼子さんは、ママ市議会議員から市長へと上り詰める役。「政治家」なんてなかなか回ってこない稀少なチャンス、言ってみれば大変身を見せつける好機到来でした。しかし、フタを開けると『ラストシンデレラ』の美容師か、『オトナ女子』の40歳独身女性キャリアか。ノリや口調が前のドラマとかぶってワンパータン感を脱出しきれなかった印象です。
NHK朝ドラ出演中の松坂桃李くんも、なかなか変身できず苦戦しているさなか。「大阪弁を操る寄席の席主」という未経験の役柄ですが、「関西人に見えない」「大阪弁に聞こえない」と酷評も。藤吉のモデル・吉兵衛は30代で逝去した人物だけにいつまで画面に登場するのかわかりませんが何とか大阪人になりきった姿を見せてほしい。応援しています。