これまで、皇位は先代の崩御によってのみ継承されてきた。そのため、今回の生前退位には「二重権威」への不安がついて回る。
「美智子さまは、新時代が幕を明ける直前にお姿が大々的に国民の目に触れることによって、新天皇・皇后への余計な負担になってしまわないかと危惧されているといいます。さらには、退位礼正殿の儀での陛下のお言葉も執り行わなくてもいいのではないか、というお考えだとも聞いています。
天皇皇后としてなすべきことのすべては、これまでの約30年で充分に国民にお見せできたという達成感にも似た思いもあるのではないでしょうか。だからこそ美智子さまは、“ただ去るのみ”という静かなるご決断をされたのでしょう」(前出・宮内庁関係者)
◆防弾ガラスのパレードカー
この先さまざまな儀式、行事が執り行われる。皇太子さまの即位においては、陛下の前例を踏襲する形式が取り入れられる予定だ。陛下の退位から一夜明けた来年5月1日には、「剣璽等承継の儀(けんじとうしょうけいのぎ)」が行われる。
「皇位とともに受け継がれる剣や璽は、前回の儀式の際は侍従が陛下の前に置かれた白木の台の上に運びました。今回は、前の“所有者”である陛下がいらっしゃるわけですから、直接お渡しになる『バトンタッチ』があってもいいのではないでしょうか」(宮内庁関係者)
即位当日に、新たな元号が用いられることになる。すでに、内々に次の元号に関する検討は始められている。
「小渕恵三元首相が額縁を掲げる姿が印象深い『平成』は、東大名誉教授だった山本達郎氏の案でした。考案者が堅く伏せられていたことで、改元の際にすでに亡くなっていた人物の名前がまことしやかに噂されたこともありましたが、縁起物である元号には、故人の案は採用しないという暗黙の了解があります。次の元号を迎えたときにも、日本のどこかに考案者がいるということです」(皇室ジャーナリスト)
10月には即位を内外に示す『即位礼正殿の儀』や即位パレードにあたる『祝賀御列の儀』、海外からも賓客を招く『饗宴の儀』が行われる。
「オープンカーでパレードすると思いますが、あのロールス・ロイスの修理問題があるとなると、宮内庁も頭を悩ませているでしょうね。ちなみに、今の陛下の即位パレードの時には過激派による襲撃の可能性が懸念されており、オープンカーとは別に防弾ガラスを配した車も用意されていました。ギリギリのタイミングでオープンカーに乗られることが決定しましたが、もしかしたら、ガラス越しの味気ないパレードになってしまっていた可能性もあったんです」(前出・皇室ジャーナリスト)