話を中川さんに絞ると、最大の魅力は、品のある落ち着いた佇まい。
ハマっているのは、白い制服を身にまとった王子様キャラの馳天馬だけではありません。『真田丸』(NHK)では、堺雅人さん、内野聖陽さん、哀川翔さん、峯村リエさんら、百戦錬磨の先輩俳優がそろうなかで豊臣秀頼を演じ、品のある落ち着いた佇まいは風格すら感じさせました。
さらに過去を振り返ると、『家政婦のミタ』(日本テレビ系)で演じた中学2年生・阿須田翔は、バスケ部のキャプテンでクリーンな性格。『夜行観覧車』(TBS系)で演じた高橋慎司は、人気アイドルに似たルックスで1年生ながらバスケ部のレギュラー。往年の名作をリメイクした『南くんの恋人~my little lover』では、それまで普通の高校生だった南くんのキャラ設定が「容姿端麗・成績優秀」に変えられるほどでした。
多くの若手イケメン俳優がいる中で、「中川さんほど凛々しい役柄が合う人はいない」というのが、テレビマンたちの見方。アイドル俳優やライダー・戦隊出身俳優は良い意味での“軽さ”が武器になりますが、中川さんは役柄の出自や才能などの“重さ”を背負って演じられる俳優なのです。
また、“品のある落ち着いた佇まい”というベースがあるからこそ、感情をあらわにして怒ったときや、バカなことをしておどけるときのギャップは大きなものがあります。実際、『水球ヤンキース』(フジテレビ系)では水球部なのに泳げないおバカキャラを演じ、『監獄学園-プリズンスクール-』(TBS系)では深夜ドラマらしいエッチなシーンに挑んで、視聴者の支持を集めました。
今後も“品のある落ち着いた佇まい”というベースや、“重さ”を背負って演じられるという武器がある限り、中川さんの俳優人生は順風満帆ではないでしょうか。
◆「20代での大河ドラマ主演」も夢ではない
小栗旬さんのように、『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系)や『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』(テレビ朝日系)の刑事から、『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ系)の社長、『信長協奏曲』(フジテレビ系)の歴史上人物、映画『ルパン三世』のアニメキャラ、映画『クローズZERO』の武闘派ヤンキーまで、幅広いジャンルの役柄で主演を務める日は遠くない気がします。
今年は中川さんにとって、来月6月14日で20歳を迎える節目の一年でもありますが、ここまでのステップを見る限り「20代のうちに大河ドラマの主演を張る」ことも決して夢ではありません。老若男女、誰もが認める若手スター俳優がひさびさに生まれるのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。