何より、記者たちとの距離が、宮里さんや真央ちゃんの時よりも圧倒的に近い。これまで築いてきた愛ちゃんとメディアとの関係が、距離の近さに表れている感じがする。さらに、背景となった白地にピンクの可愛らしい花柄の壁紙が、堅苦しさのない、親しみやすく明るくしなやかな彼女らしい雰囲気を演出している。
ドアを開けて入ってきた愛ちゃんは、最初こそ戸惑ったような笑顔を浮かべたものの、会見は和やかに進んでいった。彼女の笑顔に記者たちの笑い声も多くなり、テレビ画面からも温かい雰囲気が伝わってくる。会見最後には、愛ちゃんから申し出て報道陣との記念撮影が行われた。各メディアは「異例」、「神対応」と報じたが、この会見スタイルを選んだ時から、きっと決めていたことなのだろう。
ファッションも彼女らしかった。白をベースに、グレーや淡いブルー、ピンクのダイヤ柄や花柄を組み合わせた華やかなワンピースは、バックの壁紙とマッチして、愛ちゃんによく似合う。宮里さんと真央ちゃんが白と黒でコーディネートしていたのとは、印象がかなり違う。白と黒という色合いは、選手生活に区切りをつけるという2人の気持ちの表れをイメージさせたが、愛ちゃんのワンピースはアスリートとしての決意より、幸せや女性らしさ、自分らしさを強くイメージさせたからだ。後輩たちの活躍で肩の荷を下ろし、福原愛という1人の女性として歩んでいこうという思いが表れているようだった。
会見最後の記念撮影、彼女らしいとびきりの笑顔を見せた愛ちゃん。それが今の彼女の心境なのだろう。泣き虫からも引退だ。