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『おしん』はもう36年前の作品。皆さんが覚えていてくださり、とてもうれしいです。大人の役者さんの中で子供は私ひとりでしたが、皆さんがサポートしてくださって楽しく撮影ができました。
大変だったのはせりふの暗記。約1か月で6週間分を覚えるのは大変で、学校に行く前と帰ってきた後、食事後に母と練習し、気がつけば自分以外のせりふもすべて覚えていました。
ある日、撮影中に泉ピン子さん(71才)がせりふに詰まってしまった時があったので「母ちゃん、次はこういうせりふだよ」と教えてあげました。よかれと思ってふと出た言葉でしたが、後になってスタッフから、「あの時はピン子さんを傷つけてしまったようだ」と教えられ、失礼なことをしてしまったと、反省しています。
おしんはがまん強くて一生懸命で家族思い。心が折れそうなこともやり通す。私にはなかなか真似できません。当時、印象に残っているのは、「これからいろいろな人と出会い、大変なことがあるだろう。意地悪や理不尽なことを訴えても変わらず、それでも横車を押してくるような人はかわいそうな人だと思ってあわれんでやりなさい」という俊作兄ちゃんのせりふです。考え方ひとつで、うまく生きていく方法があるんだなと、子供心にも感じ、学びました。
歴史ある朝ドラにいつかまた出演したいと思っていましたが、『なつぞら』で機会をいただけたので、御恩返しがしたいですね。前回は子役だったのでまわりにサポートしてもらいましたが、今回は主役の広瀬すずちゃんを盛り上げていきたいと思います。
※女性セブン2019年3月28日・4月4日号