国際情報

韓国への報復「日本が絶対にやってはいけない制裁」とは何か

制裁の目的は、元徴用工問題を放置し続ける韓国・文在寅政権を動かすこと(EPA=時事)

 元徴用工の補償問題で、原告側はすでに新日鉄住金と三菱重工業が韓国内にもつ資産を差し押さえ、機械メーカー・不二越に対する訴訟では、判決が出る前から裁判所は賠償金確保のため資産の差し押さえを認めている。メディアでは韓国に対するさまざまな報復措置が論じられており、自民党の部会などでも検討されているが、日本が対抗策を打てば、韓国側が再報復に出ることは十分予想される。報復の連鎖が始まれば、国交断絶へと突き進みかねない。

 経済・貿易の分野の報復措置には効果と副作用があり、民間企業や民間人が巻き添えになることが避けられない。日本側の目的は、1965年の日韓請求権協定を反故にして、この問題を放置している文在寅政権を動かすことにある。そこで考えられるのが政治的な報復措置だ。元在韓国特命全権大使で、外交経済評論家の武藤正敏氏に、その効果と副作用について解説してもらった。

●韓国人の「ビザなし渡航廃止」で困るのは…

 現在、韓国から日本へは90日以内の短期滞在(観光や娯楽等が目的)であれば、ビザなしで渡航が可能になっている。麻生太郎財務相は3月12日の衆院財務金融委員会で、韓国への報復措置として「入国ビザ差し止め」に言及したが、完全に入国を拒否するというのは現実的ではない。考えられるのはビザなしでの渡航を廃止するという対抗策だろう。

 ビザなし渡航が始まったのは愛知万博が開催された2005年からで、それ以前の状態に戻るだけという見方もできるが、当時と今ではかなり状況が異なる。

 日本を訪れた韓国人観光客の数は、2004年で159万人だったが、2018年には754万人と5倍近くに膨れあがり、外国人観光客のなかで韓国人の占める割合は約24%(日本政府観光局調べ)。中国に次いで2位となっている。

 一方、日本から韓国を訪れる観光客は295万人なので(2018年、同)、訪日韓国人のほうがはるかに多い。

「韓国からの観光客が激減して困るのは日本で、観光業や飲食業などが大きなダメージを受けます。観光や就職のために日本にやってくる韓国人は親日的と言え、そうした人たちを敵に回すような報復はすべきではありません」(武藤正敏氏、以下同)

 日本への観光が減れば、その分、富の流出を防げるので、韓国政府はむしろ喜ぶだろう。

関連記事

トピックス

海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン