中継画面に映ることは稀でも、こうした光景は球界では決して珍しくないという。
「公開説教は監督が特定の選手を厳しく叱り、選手全員をピリッとさせる手段のひとつです。ただ、叱られるのが実績のない若い選手であることが多いので、人気球団の巨人や阪神、あるいは有名な監督が絡まないとなかなか記事にならないだけ。
少し前まではさらに過激でした。野村克也監督はボーンヘッドをした選手にベンチで1時間以上説教したことがあったし、星野仙一監督のように怒鳴った後に、ベンチ裏での鉄拳制裁もあった」(ベテランスポーツ紙デスク)
ただ、平成生まれの選手が中心となった今の時代に、その“常識”は通用するのか。高校野球でも「選手を怒鳴りつければ休んだり、退部してしまうので強豪校でも怒る指導法は減っている」(同前)という。当然、怒られ慣れせずにプロになる選手も出てくる。
あるセ・リーグの20代現役選手はこう語る。
「公開説教ですら萎縮してしまう若手ばかりで、殴られたら野球を辞めちゃう選手も出てくるんじゃないですか。一般企業なら完全にパワハラでしょう。公開説教は、わざわざみんなの前で……という思いはあります。誰もわざとミスしているわけじゃないですから」
こうした球界の変化に現場の首脳陣はどう向き合っているのか。昨年までソフトバンクのヘッドコーチで甲斐拓也(26)らを育成し、古巣・広島での監督経験もある達川光男氏は自らの経験を元にこう分析する。