スポーツ

30年取材してきた記者の見た「野球人・カネやん」の魅力

週刊ポスト誌上では巨人・菅野智之とも対談していた

週刊ポスト誌上では巨人・菅野智之とも対談していた

「命拾いをしたのだから、これを糧にしてもう一度自分の生活を見直そうと思っている。病室で大船渡の佐々木朗希君のことを見ていたが、ケガを恐れて投げないというのはどうかと思う。ワシは自己管理する中で故障と向き合いながら成績を残してきた。今回のワシもそうだが、ケガをして学ぶことも少なくない。一病息災という言葉もあるだろう。86年間も生きてきたワシがいうんだから間違いないよ」

 プロ野球選手が写真週刊誌に女性との夜遊びが掲載され問題になると、「英雄色を好むというが、聖人君子では野球はできん。色も人を生かすことがある」とかばい、「ワシはオンナに腕枕をするときも左腕を絶対に使わなかったし、常に登板日も意識していた。一流選手には夜もローテーションがあるんじゃ」とプロ魂を見せる一方で、下ネタで笑わすことも忘れなかった。

 最近は制球難で苦しんでいる阪神の藤浪晋太郎投手のことが気になっていたようで、春季キャンプ中に金田さんの希望でインタビューを申し込んだが、スケジュールの都合で実現しなかった。巨人の原辰徳監督のことを“たっちゃん”と呼び、巨人が何連敗しようと「黙ってペナントが終わるまで見てろ。巨人を叩くんじゃないぞ」と見守った。

 オフの恒例だった長嶋茂雄さん、王貞治さんとの『ONK対談』。フグ料理を食べながらの取材だが、ONが現役監督だった時代は店の前に両チームの番記者が集まり過ぎて警官が出動したこともあった。店の中では山盛りの湯引きを食べる金田さん、てっさをお茶漬けのように掻っ込む長嶋さん、ひれ酒がどんどん進む王さんと嗜好がバラバラの3人だが、金田さんの軽妙な司会で同席したマネージャーが固まるような本音が飛び出す。

 キャンプ地へ取材に訪れれば、空港に到着した時点でファンに囲まれる。ここでも「長嶋さんです」のギャグで始まり、丁寧にサインや記念写真に応じる。しかし、球場に足を一歩踏み入れると「主役は選手」とサインには応じなかった。裸足でスリッパの選手を目にすると「なんじゃその格好は」と注意し、首にネックレスを付けた選手を見つけると「プレーの邪魔にならんのかな」と呆れていた。プロフェッショナルとしての自覚を誰より持つ金田さんからすれば信じられない光景に映っていた。

 現役時代からトレーニング法に加え、食生活にも気を使った金田さんだが、それは晩年になっても徹底していた。キャンプ地の取材でも、朝の食事、出発、昼食、夕食の時刻はもちろん、店や食べるメニューまで決まっていた。「快食、快眠、快便が健康の秘訣」が口癖だった金田さんは、球場に向かうタクシーの中で「クソはたれたか」と必ず聞いてきた。

 金田さんの周囲はいつも笑いが絶えなかったが、自身の経験をもとにした鉄板ネタをいくつも持っていた。「サイレンを2回鳴らしたことがある」というのもそのひとつ。「夕張での試合で、プレイボールのサイレンが大きな音で “ウ~”と鳴って、ワシが1番バッターの金田正泰さん(元・阪神)に第1球を投げると頭にガンと当たってしまった。すぐに救急車が“ウ~”とサイレンを鳴らして走ってきた。1イニングにサイレンを2度も鳴らしたのはワシだけじゃ」と爆笑をさらう。

関連記事

トピックス

70歳の誕生日を迎えた明石家さんま
《一時は「声が出てない」「聞き取れない」》明石家さんま、70歳の誕生日に3時間特番が放送 “限界説”はどこへ?今なお求められる背景
NEWSポストセブン
イスラエルとイランの紛争には最新兵器も(写真=AP/AFLO)
イスラエルとの紛争で注目されるイランのドローン技術 これまでの軍事の常識が通用しない“ゲームチェンジャー”と言われる航空機タイプの無人機も
週刊ポスト
一家の大黒柱として弟2人を支えてきた横山裕
「3人そろって隠れ家寿司屋に…」SUPER EIGHT・横山裕、取材班が目撃した“兄弟愛” と“一家の大黒柱”エピソード「弟の大学費用も全部出した」
NEWSポストセブン
ノーヘルで自転車を立ち漕ぎする悠仁さま
《立ち漕ぎで疾走》キャンパスで悠仁さまが“ノーヘル自転車運転” 目撃者は「すぐ後ろからSPたちが自転車で追いかける姿が新鮮でした」
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《模擬店では「ベビー核テラ」を販売》「悠仁さまを話題作りの道具にしてはいけない!」筑波大の学園祭で巻き起こった“議論”と“ご学友たちの思いやり”
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン
5月6日、ニューメキシコ州で麻薬取締局と地区連邦検事局が数百万錠のフェンタニル錠剤と400万ドルを押収したとボンディ司法長官(右)が発表した(EPA=時事)
《衝撃報道》合成麻薬「フェンタニル」が名古屋を拠点にアメリカに密輸か 日本でも薬物汚染広がる可能性、中毒者の目撃情報も飛び交う
NEWSポストセブン
カトパンこと加藤綾子アナ
《慶應卒イケメン2代目の会社で“陳列を強制”か》加藤綾子アナ『ロピア』社長夫人として2年半ぶりテレビ復帰明けで“思わぬ逆風”
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《2人で滑れて幸せだった》SNS更新続ける浅田真央と2週間沈黙を貫いた村上佳菜子…“断絶”報道も「姉であり親友であり尊敬する人」への想い
NEWSポストセブン
ピンク色のシンプルなTシャツに黒のパンツ、足元はスニーカーというラフな格好
高岡早紀(52)夜の港区で見せた圧巻のすっぴん美肌 衰え知らずの美貌を支える「2時間の鬼トレーニング」とは
NEWSポストセブン