「即位礼正殿の儀」で、安倍首相による万歳三唱の中継映像を見つめる海外メディアの記者(写真/共同通信社)

 アメリカにおける近現代天皇制研究の第一人者で、『国民の天皇』『天皇論「日米激突」』(共著)などの著書がある米ポートランド州立大学教授のケネス・ルオフ氏は、今回の退位によって、世界の天皇に対する見方が変化したと指摘する。

「海外の人々は常に日本に興味をもっているわけではなく、たまに報じられる日本のニュースを見て、情報をアップデートする程度です。そのため海外では依然として“第二次大戦中の天皇”だった昭和天皇にまつわる負のイメージが根強かった。

 しかし、今回の代替わりのニュースが世界中で報じられたことで、平成の天皇が平和主義者であり、日本は戦前とは異なる国になったということが世界中に伝わり、アメリカでも“天皇アレルギー”が払拭されました。上皇・上皇后が幾度となく海外への慰霊の旅に出かけ、平和が大事だとする発言を繰り返してきたのは、イメージを変えるためにはそれだけの時間がかかるということを理解されていたからではないかと思います」

 即位の礼で新天皇は、「国民の叡智とたゆみない努力によって、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします」と述べた。令和の時代も平和への訴えを引き継いでいくという表明だろう。

 ルオフ氏は令和の天皇の新たな取り組みについてこう推察する。

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