芸能

吉高由里子ドラマ『知らコト』 不倫が絶対悪ではないと証明

吉高由里子は週刊誌の敏腕記者を熱演した

 SNSの普及によってバッシングの熱量は高まった。いまやそれが表現活動に及ぼす影響も無視できない。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が考察した。

 * * *
 いよいよ各ドラマも終盤。振り返れば今期に注目された話題の一つに、「世を騒がす芸能人の不倫問題がドラマに影響を落とすのか」ということがありました。

 具体的には、東出昌大さんの不倫報道で一色となった2月頃、NHK朝ドラ『スカーレット』も喜美子(戸田恵梨香)の夫・八郎(松下洸平)と女の弟子・松永三津(黒島結菜)が怪しい雰囲気で急接近という展開に。三津の好意に対して八郎もまんざらではなさそうで、妻への不満を三津にもらす。三津はいよいよ本気になり……。しかも、この筋立てはただのフィクションではなかったため、よけい注目されることに。

 朝ドラにはご存じ実在のモデル=信楽焼作家・神山清子さんがいます。神山さんの夫は弟子と不倫関係になり家を出て夫婦は離婚、という事実があるだけに、その現実をトレースするのか、違う形にするのか、東出さん不倫の騒動が朝ドラの先行きにどんな影響を与えるのか、と話題になったのでした。最終的には八郎が三津をかわして、三津は工房を去り一件落着とあいなりました。NHKの制作陣によると、不倫回避という展開は、東出さんの不倫問題とは関係がないとのこと。

 そうは言っても視聴者はリアルタイムで両方を見ている。しかも公共放送で毎日流れる朝ドラは生活の一部。良きにしろ悪しきにしろ出来事や話題と全くの無関係ではいられないでしょう。

 ストーリーとしては不倫は回避されましたが、課題は残った。不倫はなかったのに夫婦は離婚してしまったからです。ではなぜ別れたのか。夫が妻の才能に嫉妬したことも理由らしい。けれど夫は当初、妻が望む穴窯制作を応援していた節もあり、どうもはっきりしない。しかも終わりに近い3月半ばの今でさえ、八郎は頻繁に家に出入りしている。

 いったいなぜ二人が別れたのか、関係がどうなっているのか、モヤモヤ感を抱き続けている視聴者も多いようです。筋をしっかり回収しきれていないというか、何となく中途半端な感じが漂い続けています。いや、世の不倫騒動の影響など思い切り跳ね返すくらいドラマ世界が独自の強さを持って自己完結していれば何の問題も生まれなかった、という教訓なのかもしれません。

 奇しくも同じ時期、対照的に正面から「不倫の関係」を描き出して多くの視聴者の「共感」を呼び込んだドラマがありました。『知らなくていいコト』(日本テレビ系水曜22時)は週刊イーストの敏腕女性記者・真壁ケイト(吉高由里子)が主人公。同じ編集部のカメラマン、尾高(柄本佑)は既婚者で妻と幼な子がいる。その上で、ケイトと尾高は心底惹かれあう。

「俺の心の中にはいつもケイトがいる。ケイトを思わない日はない」と尾高。ケイトも「一緒に生きていきたい」と伝える。尾高がケイトを後ろから抱きしめる「バックハグ」は注目を集め、「胸キュンシーン」として話題を振りまき、柄本さんの「色香」が凄いと評判を取ったのでした。そう、二人の「不倫」の関係は反発されるどころか好感度はグングンとアップしていきました。

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン