芸能

家なき子、聖者の行進、金田一少年 再放送できぬ人気ドラマ

小栗ら豪華キャストが出演していた『Stand Up!!』(TBS系/2003年)も再放送は難しいといわれる

 新型コロナウイルスの影響でストップしていた撮影が再開され、延期となっていた新ドラマの放送が徐々に始まっている。その間、テレビ各局は苦肉の策で過去の名作を再放送していたが、これが予想を超えるスマッシュヒット。『愛していると言ってくれ』(TBS系/1995年)や『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系/2016年)など、高視聴率をマークするドラマが相次いだ。

 しかし、待ち望む声が高まっても封印が解かれない名作もある。

「同情するなら金をくれ!」

 当時12才の安達祐実(38才)が、鋭いまなざしで叫ぶこのせりふが『日本新語・流行語大賞』にもなった『家なき子』(日本テレビ系/1994年)は、主題歌『空と君のあいだに』(中島みゆき・68才)とともに大ヒットした。当時、最高視聴率37.2%を記録したが、一度も再放送されていない。

「貧しい家庭に生まれて家庭内暴力や学校でのいじめを受けながらも、強く生きる少女の物語です。涙した人も多かった感動作なのですが、少女役の安達さんがいじめを受ける描写が、現在では過激すぎると判断されています。貧困家庭への差別意識も助長しかねないとの懸念もあり、再放送が実現しないとされています。あれだけ話題になったのに、DVDも販売されていません」(ドラマ評論家の田幸和歌子さん)

 知的障害者が働く工場を舞台にした『聖者の行進』(TBS系/1998年)も、過激な描写が原因で再放送されていない。

「知的障害者の役を演じた、主演のいしだ壱成さん(45才)の迫真の演技が話題になりました。ですが、暴力や性的暴行などのシーンも多く、リアルタイム放送時からスポンサーが難色を示すという事態に発展していたほどです。当然ながら、現在放送するのは難しい」(コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さん)

『家なき子』も『聖者の行進』も、いじめや自殺などの社会問題を積極的に取り上げてきた野島伸司氏の脚本作品。野島作品には、いしだのほか浜崎あゆみ(41才)や香取慎吾(43才)が出演し、少年犯罪を描いた『未成年』(TBS系/1995年)や、KinKi Kidsの堂本剛(41才)が中学でのいじめを苦に自殺、父親役の赤井英和(60才)の復讐心や親子の絆を描いた『人間・失格~たとえばぼくが死んだら~』(TBS系/1994年)などもあるが、いずれも生々しく過激な描写が理由で、再放送は困難とされている。

 堂本剛主演作品では、人気漫画が原作で「ジッチャンの名にかけて」難事件解決に挑む『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系/1995年)の再放送を望む声も多い。

「殺人シーンのリアルな演出がとても怖くて、当時はドキドキしながら見ていました。ただ、そのリアルさがいまの時代のコンプライアンスに合っていないと判断されてしまう」(田幸さん)

 社会派やサスペンスだけでなく、恋愛ドラマの中にも、時代が“邪魔”する名作はある。

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト