芸能

「リコカツ」「大豆田」「コント」人間関係描く3作が若者に響いた理由

(番組ホームページより)

“リコカツ”で深まる男女関係を描いた(番組ホームページより)

 4月期の連続ドラマが続々と最終回を迎えた。平均視聴率ではフジテレビ系『イチケイのカラス』、TBS系『ドラゴン桜』、テレビ朝日系『桜の塔』が10%超と好評だったが、それとは別に、「あまりテレビを観ない」と言われる若者たちの間で話題になった作品があるという。メディア研究が専門のジャーナリスト・水島宏明氏(上智大学文学部新聞学科教授)が、放送を終えたばかりの連続ドラマ3作品について考察する。

 * * *
 職業柄、20歳前後の若者たちと雑談することが多い。特にテレビ好きの女子学生とよく話すが、そこで気がつくことがある。それは彼らが「他人との距離」に対してとても敏感だということだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大でオンライン授業が急増して若者たちの生活環境が大きく変化している。顔と顔を合わせる対面のやりとりが減るなかで心身に変調をきたしてしまう人が目立っている印象だ。仲がよい友人同士だったはずが、突然、 連絡を切ってしまう人が出てくるなど「人と人との距離」の持ち方で悩んでいる人は少なくない。他の人と「ほどよい距離感」がある“いい関係”についてかつてないほど関心が強くなっているように感じる。

 友人や恋人と本当の意味で“いい関係”を持ちたい。心の底で結びつくような強い絆がほしい。だが、SNSでのやりとりで人間関係が決まる現代の人間関係はとても繊細でちょっとしたことで壊れかねない。そんな時代のなか、若者たちはテレビドラマに人間関係のモデルケースを見出そうとしているのだろうか。

 若者たちの会話で彼らが夢中になっていると感じていた上半期の連続テレビドラマが完結した。TBS系の『リコカツ』。フジテレビ系の『大豆田とわ子と三人の元夫』。日テレ系の『コントが始まる』。この3つのドラマだ。

 共通するのは夫婦や恋人、親子や友人といった大切な人間同士の「関係」や「距離感」が主要テーマになっている点だ。妻や夫、恋人などの「肩書き」や「資格」にこだわらない「本当の意味での“いい関係”」を追求するドラマだった。

 登場する人物たちはどれもが「立派な人」ではなく、どこか抜けていて世間の常識をやや逸脱した面がある人たちだ。だからこそ、自分の本音に忠実に生きようとしてもがいている様子に共感できる仕組みになっている。そんな登場人物に対して、若者たちは自分の周囲の人間関係と重ねあわせてドラマを見ているらしい。

関連記事

トピックス

司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
横山剣氏(左)と作曲家・村井邦彦氏のスペシャル対談
《スペシャル対談・横山剣×村井邦彦》「荒井由実との出会い」「名盤『ひこうき雲』で起きた奇跡的な偶然」…現代日本音楽史のVIPが明かす至極のエピソード
週刊ポスト
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン