第9話で最初の夫の田中八作の店に現れたとわ子はこう語る。

(とわ子)「今さあ、この人素敵だなーって人とお別れしてきた。一緒にいて安心できる人だった」
(八作)「それはもったいないことしたね」
(とわ子)「そうなんだよね。でもしょうがない。欲しいものは自分で手に入れたい。そういう困った性格なのかなあ…」
(八作)「それはそうだよ。手に入ったものに自分を合わせるより、手に入らないものを眺めている方が楽しいんじゃない?」
(とわ子)「そうなんだよね。そっちの方がいいんだよね」
(八作)「うん……」
(とわ子)「1人で生きていけるけど、まあ、さびしいじゃん」
(八作)「うん」
(とわ子)「さびしいのは嫌だけど、でもそれで誰かと2人でいたって自分を好きになれなかったら、結局1人だしさ」
(八作)「そうだね」
(とわ子)「好きになれる自分と一緒にいたいし、1人でも幸せになれると思うんだよね」

 一言ひと言を噛みしめたくなるような深い会話が全編を貫く。とわ子と八作は今は亡きかごめと「3人で生きていく」ということを決意する。いろいろな経験を積んだ人たちが見るような大人のドラマだった。

 それに若い人たちが反応したのには驚いた。登場したとわ子と元夫たち、さらには亡きかごめとのような「なんとも言えない関係」に憧れているようでもある。互いに束縛や干渉しすぎず、自由もあるほどほどの距離感をもった“いい関係”。

 八作を含めてとわ子のことに過剰に干渉したがる元夫たちも、とわ子のデリケートな思いは尊重して距離を置いて見守っているようでもある。とわ子にとっては今の元夫たちを含めた人間関係が「居心地がいい関係」なのだろう。

 それは誰もが望む現代社会における理想の関係なのかもしれない。このドラマを見た人はフィクションとは知りつつもこのような元夫たちが時々押しかけてくるような環境を夢想したに違いない。人間関係が希薄な今、従来の夫婦や恋人、友人の関係を超えた人間同士の“いい関係”を描こうとしたドラマに、敏感な若者たちが反応していることがわかった。

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン