外交官時代の雅子さま(1988年1月、東京・目黒区。写真/共同通信社)

外交官時代の雅子さま(1988年1月、東京・目黒区。写真/共同通信社)

 世間から求められる「皇太子妃像」にも悩まされてこられた。

「現代の多くの一般の夫婦と同様、雅子さまと陛下はフラットな関係を築かれており、陛下もそれを好まれています。しかし、そうしたお姿は美智子さまが築いてこられた『三歩下がる妻』という控えめなお后像とは異なるため、さまざまな意見がありました。

 婚約内定会見などを見ても明らかなように、もともと雅子さまはご自身の言葉でお考えを明確に話されるタイプですが、お立場上、ストレートに声を上げられることは難しい。当時は相当なストレスを抱えられていたでしょう」(前出・皇室解説者)

 そうした経験をされた雅子さまは、おかしいと思ったことに「はて?」と首をかしげ、素直に怒りをあらわにする寅子の生きざまに、胸のすく思いをされているのではないだろうか。

結論が出るまでは未来が不透明

 現在国会では、安定的な皇位継承のための協議が進められており、5月17日には衆参両院の議長と各党の代表らが議論を交わした。

「2022年に政府の有識者会議が国会に提出した報告書に盛り込まれた『女性皇族が結婚後も皇室に残る案』と、『旧皇族の男系男子を養子に迎える案』を軸に話し合いが進められています。慎重な議論を求める声がある一方で、政府側は今国会中にある程度の結論を出したい考えです。今後、女性皇族を巡る議論が加速していくのは間違いありません」(宮内庁担当記者)

 議論の影響を最も大きく受けられるのが愛子さまの人生だ。

「大学ご卒業後に発表された文書で、愛子さまは結婚の理想の時期について濁されていました。結論が出るまでは静観されるのでしょう。結婚相手やその子供の身分はどうなるのか、どこで暮らすのか、生活費はどのように賄うのかなど、細部が決まらない以上、現段階では結婚という道を選ぶことすらできず、ご自身の未来は不透明なままです。

 ご自身の人生をご自身だけで決めることができないという葛藤は、想像を絶するものでしょう。皇室においても、男性は迷いなく生きていけるのに、女性の扱いはなぜこうも定まらないのか。愛子さまもまた、ご自身のお立場を、女性という高い壁の前で理不尽な思いをする寅子に重ねられ、憤懣遣る方ない思いをされているかもしれません」(前出・皇室記者)

 不安定な将来を抱えられながらも、愛子さまは仕事に邁進されている。

「退社時刻が20時を過ぎることもあり、積極的な姿勢を示されています。ご自身の先行きが不透明であるからこそ、自分の意思で打ち込むことができる仕事に没頭されているのではないでしょうか。一生を捧げる『ライフワーク』として、愛子さまは日赤で働くことを選択されたのかもしれません」(前出・宮内庁担当記者)

 雅子さまにとっても、愛子さまのご活躍はうれしいものに違いない。

「愛子さまが社会人として自立され、男女の別なく日赤での活動を通して社会に貢献されることは、かつて外交官として世界を股に掛けて活躍された雅子さまにとっても喜ばしいことでしょう。

 とはいえ、均等法第一世代として男性優位の社会で奮闘された雅子さまには苦労も多かった。『虎に翼』を見てご自身の経験を思い出されると同時に、愛子さまには同じ思いをしてほしくないというお気持ちもあるのではないでしょうか」(前出・皇室記者)

 令和のいま、愛子さまのそうしたご決断と、それを応援する雅子さまの思いは珍しいものではない。

「皇族という立場にありながらキャリアを築く選択をされ、それが国民から祝福されていることは、男女が明らかに不平等だった時代に、道を切り開いてきた女性たちがいたからこそ得られたものです。雅子さまと愛子さまはそれぞれのお立場で、いまにつながる『虎に翼』を揃ってご覧になっているのでしょう」(前出・皇室記者)

 仕事も結婚も、愛子さまにとって何が望ましいことなのか、国民一人ひとりが責任を持って考えなければならない。

※女性セブン2024年6月6日号

関連記事

トピックス

ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン