職場では特別扱いを固辞されているという(4月、東京・港区。写真/JMPA)
実はこれまで、天皇陛下が朝ドラに言及されたことは度々あった。
「岩手を訪れた際には『あまちゃん』(2013年)で有名になった『じぇじぇ』という方言について地元の人に尋ねられました。昨年の秋の園遊会では出演者を前に“『マッサン』(2014年)に出ておられましたね”と声を掛けられていました。ただ、これまで雅子さまが率先して朝ドラについて話題にされたことは知られていません。それだけ『虎に翼』にのめり込んでいらっしゃるのでしょう」(前出・皇室記者)
『虎に翼』は、戦前に日本初の女性弁護士になり、戦後、女性として初めて判事や裁判所所長を務めた三淵嘉子さんをモデルにした物語だ。伊藤沙莉(30才)演じる主人公・猪爪寅子が女性には閉ざされていた法曹職の扉を開き、仲間とともに学び、ぶつかり、人として成長していく様子を描く。
「ドラマの魅力のひとつは、寅子が理不尽な社会制度や古い固定観念に対して素直に疑問を呈し、臆せず言葉にするところです。
寅子が晴れて日本初の女性弁護士になり、祝賀会に臨んだ場面では、女性に不利な社会の現実に触れ、こう言い放ちます。『生い立ちや信念や格好で切り捨てられたりしない、男か女かでふるいにかけられない社会になることを、私は心から願います』──社会で理不尽な思いをしたことがある誰もに刺さる名シーンでした」(テレビ局関係者)
「仕事を持つのは当然。結婚と両立させたい」
男性社会のなかで、負けじと働く女性たち。ご結婚前の雅子さまも、まさにそのような立場におられた。
1987年に就職された雅子さまは「均等法第一世代」と呼ばれる世代だ。前年に「男女雇用機会均等法」が施行されたばかりで、男性と同等の職業につき、同等の仕事をする女性たちは時代の先駆け的な存在だった。当時、雅子さまには、6年上の年次に憧れの働く女性がいらっしゃった。
「大学時代に交流があり、当時女性としては少なかった外交官になった村角美絵さんです。村角さんから『外務省であれば男性と同じように仕事ができる』と聞き、外務省入りを強く意識されるようになったそうです」(前出・皇室記者)
同年の「朝日新聞」の「『霞が関』87年入省の女性たち」と題したインタビューで雅子さまは、「仕事を持つのは当然。結婚と両立させたい」と語られた。
「均等法によりマシになったとはいえ、入省した当時はまだまだお茶くみと掃除は女性の仕事など、根強い男女差別の意識があったといいます。雅子さまたち女性職員は連帯して“社会に貢献しよう”と鼓舞されていたそうで、劇中で寅子が女子部の学生たちと助け合いながら勉学に励んだ姿と重なります」(前出・皇室記者)
仲間とともに切磋琢磨された雅子さまは入省から約6年後、皇室に入られた。
「皇室制度は明確に男子優先であり、男女平等とは対極にあるといっても過言ではありません。外交で国に貢献できることに変わりはないとお考えになり、外交官から皇太子妃に“転職”された雅子さまでしたが、実際に皇太子妃として求められたのは男子を出産することで、その声の大きさは想定外であったに違いありません」(皇室解説者)
