「1990年代に日本からメジャーへ渡った選手たちが活躍したことで、日本球界の価値が見直されたことも大きいでしょう。アメリカで上手くいかなかった選手でも、日本で活躍すれば、もう一度メジャーから声がかかるので、外国人選手の目の色が明らかに変わったのです。良い例が、2008年から2年間広島に在籍したルイス。2003年にレンジャーズで10勝して以降、メジャーでは鳴かず飛ばずでしたが、広島で2年連続2ケタ勝利を挙げると、2010年に古巣のレンジャーズと契約。いきなり12勝とメジャーで大活躍しました。
もちろん、プロ野球界全体のレベルアップも挙げられます。ローテーション投手とそれ以外の投手の差が、1990年代と比べると、かなり縮まってきた。2009年、中日は屋台骨だった川上憲伸がメジャー移籍。それでも、前年まで1勝しか挙げていなかった5年目の川井雄大が開花。前年の川上の9勝を上回る11勝を挙げ、チームも3位から2位へ浮上しました。2012年、ダルビッシュがいなくなった日本ハムも、過去3年間未勝利の吉川光夫が14勝(5敗)防御率1.71と覚醒し、MVPに輝きました」(同前)
そして、もうひとつ。ルーキーのレベルが格段に上がったことも大きい。
「2012年の楽天は岩隈久志が海を渡りましたが、高卒のドラフト2位・釜田佳直がいきなり7勝。前年の岩隈は6勝ですから補って余りある活躍で、チームは5位から4位に浮上しました。昨年の阪神も、ストッパーの藤川球児が抜けたものの、高卒ドラフト1位のルーキー・藤浪晋太郎が2ケタ勝利を挙げ、5位から一気に2位に。彼がいなければ、先発の一角だった久保康友を後ろに回すという発想も生まれなかったでしょうね。
そういう意味では、今年の楽天は田中将大が抜けたものの、スーパールーキー松井裕樹が入団した。さすがに、24勝0敗1Sだった田中の穴を完全に埋めるのは難しいでしょうが、オープン戦の投球を見ても、活躍の期待は十分。新人に過度な期待は酷ですが、それだけファンに夢を見させてくれる存在です」
田中が抜けた楽天だが、今年も見どころは多そうだ。