スポーツ

東京五輪に向けて スポーツ中継にタレントは必要なのか

ドラマは数多く生まれた(写真:アフロ)

 4年に1度の祭典のバトンは日本に託された。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が、浮き彫りになった課題について指摘する。

 * * *
 お祭り騒ぎの中で幕を閉じたリオ五輪。メダル数は過去最高という快挙。と同時に、東京五輪にむけてさまざまな課題も見えてきました。

 メディア界でいえば、時間帯が深夜から早朝に亘る競技も多く、テレビという媒体で扱う難しさが浮き彫りになった大会。NHKと民放で大きく差がついたという指摘もあり、視聴率、満足度を見ると、両方ともに高い中継といえば圧倒的にNHKだったようです。

 伝え方についても課題が。

 例えば、批判的な声が高まった一例がレスリング女子53キロ級、吉田沙保里選手の決勝試合。中継を担当したのは日本テレビ・河村亮アナウンサー。

「父親に教え込まれたタックルでいくか!」「父とともに戦う6分間になるんでしょうか」などと亡くなった吉田選手の父の話をくどく繰り返し、「実況がひどすぎる」「ポエム調」「あんなのスポーツ実況じゃない」「感動押し売り」という批判が噴出しました。

 これまでスポーツを扱うメディアがどんな切口を多用してきたのか、が浮き彫りになった形。今後、家族愛といったベタな話題にズレることなく、スポーツの魅力そのものを、いかに正面からきちんと伝えていくのか。課題がはっきりしたという意味で、この中継は興味深いものがありました。

「だから民放は見ていられない、NHKの方がずっと落ち着いている」と評価が高まった面もあるかもしれません。

 しかし、NHKだからといって手放しで賞賛はできない。

 驚かされたのが、看板番組である『ニュースウォッチ9』。キャスターの鈴木菜穂子さんが、卓球団体銀メダルを獲得した直後の水谷隼選手に対して投げた質問。いわば、日本のメディア&日本人を代表して行ったインタビューが、「お笑い芸人・波田陽区さんと似ていると言われていますがどう思いますか」。

「民放のように話が脱線しないNHK」といった言説はもろくも消え去っていきました。

「誰々と顔が似ている」的な話題はあまりに安易。種目について何も勉強せずスポーツについて知らなくても、何となく相手と話をつなげていけそうと安直に考えた時に繰り出される禁じ手。こうした安直に走らないためにどうしたらいいのか。東京五輪のスポーツ報道に向けて考えなくてはならないメディアの課題でしょう。

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン