以来、金曜日の夜、二人で食事をした後、男はマミの家に泊まる。土曜日を一緒に過ごし、夜遅くに男は自宅マンションに帰っていく。平日も、週一回は会う。そんな日々が続いているという。
「専業主婦の奥さんは、浮気に気付いていると思います。10年以上、土曜日は必ずいないんですから。そんな関係でも家庭は成り立つんだなぁと……。私だったらイヤだけど。でももう、相手の家庭のことは考えたくない。私は平日頑張って働いて、穏やかな週末が過ごせればそれでいいんです」
12年間、不倫を続けながら、結婚を望まなかったのだろうか。
「最初の段階で、妻と離婚はできないって言われたんです。子供が二人いるからと。そういう意味で、彼のやってることはずるいけど、嘘はついていない。私は結婚したかったから、他にいい人を見つけて、早く別れようと思っていました。彼だって私を都合よく使ってるんだから、私だって、食事や旅行に連れていってもらったり、楽しい思いをさせてもらって、利用してやろうって気持ちだった。
でも、気持ちが不安定になることはあって、何度も喧嘩もしたし、苦しい思いもしました。昔、不倫をしていた女の人が、不倫相手の子供を殺害する事件がありましたよね。あの人の気持ち、わからなくないです。不倫相手に怒りをぶつけると、それは付き合っている自分への自己否定につながるから、どうしても奥さんや子供に憎悪が向かってしまう」
腐りかけたときは、飲み会で知り合った男性と積極的にデートに出かけたという。しかし、彼を上回る人は現れなかった。
「楽しさが全然違うんです。彼といるときの世界がカラフルだとしたら、他の男の人といるときはモノクロ」
それでも、子供が欲しかったマミは、36歳を迎えた年に、さすがに別れを決意した。しかし、思いがけない事態がマミを襲う。