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2017.03.18 16:00  NEWSポストセブン

吉岡里帆 「目が笑っていない」演技で示した力量

吉岡里帆は独特の存在感を見せた

 予定調和的世界とはまったく正反対のドラマだった。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が『カルテット』について分析した。

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 異色のドラマ『カルテット』(TBS系火曜午後10時)。最終局面で謎が謎を呼ぶ怒濤の急展開に、視聴者はとまどい身をよじり、嬉しい悲鳴をあげています。

 単に、ミステリードラマとかラブコメディのようには「くくれない」のが、このドラマの最大の魅力。坂元裕二完全オリジナル脚本の輝きが、いかんなく発揮された独自世界。それはまるで建築物のように、立体的な構造をしています。

 いくつもの部屋があって、それぞれが結合し組み合って一つの『カルテット』という構築物を形作っている。ざっくり分けると、ドラマは3つのパートからできています。

 最初は出会いのパート。巻真紀(松たか子)、世吹すずめ(満島ひかり)、家森諭高(高橋一生)、別府司(松田龍平)の4人がカラオケボックスで偶然出会い、弦楽四重奏団・カルテットとして軽井沢で活動を開始する。

 一人ひとり人物のテイスト感が描き出され、やがて4人の関係性、微妙な距離感とバランスが見えてくる。目の表情によるやりとり。ああいえばこう返す言葉の応酬。レトリック感覚満載のセリフ。舞台芝居にも似た、不思議な雰囲気が漂っていました。

 そして、第2のパートへ。少し風合いが変わって、真紀の夫(宮藤官九郎)が突然出現する。「夫婦」にフォーカスが絞られ、二人の間の微妙なすれ違いが立ち上がる。離婚へとつながっていく過程で、真紀がどこかに抱えている「闇」の匂いがたち上ってきました。

 そして最終パート。一気に速度が上がり、ミステリードラマのような急展開。実は真紀とは架空の人物であり、戸籍を買って別人となり、しかも義父殺しの容疑者として捜査対象に……。

 それぞれのパートが独特な色彩を放っています。視聴者は、一つの部屋からまた次の部屋、次の部屋へと誘われていき、とうとうどっぷりとドラマ世界に心をさらわれてしまう。そしてドラマには4人以外にもう1人、画面に映る時間は短いけれど実に暗示的な存在がいます。

 レストラン・ノクターンのアルバイト、来杉有朱(吉岡里帆)。

「大好き大好き大好き大好き、殺したい!」「小学校のときはいつも学級崩壊させてた」「不思議の国につれてっちゃうぞ~」と、一見意味不明なセリフを、実にカワイらしく、つぶらな瞳で語る有朱は「接客業であるがゆえに、常に笑顔を絶やさずにいるが、その目は全く笑っていない」(番組公式ウエブ)。

「目が笑っていない」というキャラ設定が、実に興味深くて怖い。形としての「微笑み」はあっても、表情は崩れずシワは寄らず顔の筋肉は動かず、まるで鋼鉄製の仮面のよう。大きなその黒い瞳が「金属的」。冷たさにシビレます。

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