国内

スイス「自殺幇助団体」に登録した日本人女性の告白

ブライシック女医と筆者(手前)

 ジャーナリストの宮下洋一氏はこの一年、世界中の「安楽死」の現場を訪ね、死を望む患者や死を施す医師の声を拾ってきた。「死の選択」への理解を深めていく一方で、安楽死容認論への疑問が頭をもたげることがあった。それは筆者が、安楽死をタブーとする日本で生まれ、育ってきたことと関係している。

 では、この国でなぜ安楽死への議論が進まないのか。なぜ筆者の「日本人的なる部分」は安楽死に忌避感を示すのか。その疑問を解くため、宮下氏は日本での取材を開始した。

 * * *
 一年間に亘る海外での現場取材を終え、私はついに母国・日本の安楽死の世界に足を踏み入れることにした。常々、考えてきたことだが、海外生活23年になる私ができることは、世界の現場を巡り歩くことで得た視点から、日本固有の問題を照らすことである。

 この1年、多くの欧米人の「死」を肌で感じてきた。加齢による不具合を避けようと死期を早めた英国人老婦の「最期」に立ち合い、余命わずかながら末期癌の痛みから逃れようと安楽死を選択したスウェーデン女性の「旅立ち」を見送った。

 私は凡人であって、死の現場に毎日、居合わせるような医師ではない。だからこそ、初めて安楽死の瞬間を目にした時の動揺と、ある種の手助けができなかった後悔は、今でも胸の奥に残っている。だが、2回目以降になると、不思議と和らいでいく自らの感情に、私は恐怖さえ覚えたことがあったことを「自供」しよう。あの思いは、一体、何だったのだろう。何度も何度も考え込んだ末、思い当たる節があった。

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