芸能界に精通する大石は先妻の死後、テレビ時代劇「暴れん坊将軍」に出演していた女優を後妻に迎えた。だが、そんな山口組最高幹部も、引退後は寂しい晩年を迎えた。知人が言う。
「山口組の功労者として引退後も手厚く遇されるはずだったが、山口組の分裂でそれどころではなくなった。おまけにこれまで世話になった連中も、借金を踏み倒し始めた。それで裁判になるようになった」
山口組の分裂から間もない2015年11月、日大名誉教授が山口組元最高幹部から2000万円の借金をしていたことが発覚して話題になった。まさにそれが全盛期の大石がタニマチ感覚で融通したものだ。
享年84。かつて組織の屋台骨を支えた大物組長は、恒例の山口組葬もなく、家族だけに見送られ、人知れずこの世を去った。「ヤクザと芸能」の最後の生き証人だった。
※週刊ポスト2017年9月1日号