一方、平成に生きる俳優たちが演技の工夫で見せる「昭和感」のポイントは何か。それはヘアスタイルだ。よく出ているのが、山本耕史演じる植木等のこってりしたヘアスタイルとその妻・登美子(優香)のこんもりボブ。特に登美子は、わざとカツラっぽく見せてるの?と思うくらい、ぶかぶかした感じ。しかし、このぶかぶかは平成にはないだけに昭和っぽさに見えてくるから不思議だ。
優香がぶかぶかで奮闘しているのと対照的だったのが、『阿久悠物語』で、阿久悠の妻を演じた松下奈緒である。主演の亀梨がご本人のくせっ毛(?)をイメージした短髪にしていたのに対して、松下はナチュラルな黒髪。ごくふつうにしているのに、なんとなく昭和っぽさを漂わせる。
さすが、朝ドラ『ゲゲゲの女房』で水木しげるの妻を演じ、『天才バカボン』でサンダルに白エプロンのバカボンのママを演じたキャリアの持ち主である。松下奈緒は今秋スタートのテレビ朝日帯ドラマ『トットちゃん!』で、黒柳徹子の母役で出演。またも昭和の妻役!そして、その夫が山本耕史!キャストを聞いただけで「昭和」な気がしてきた。
各局が秘蔵する昭和映像を活用すれば、時代を映しだすドラマのネタはまだまだできるだろう。「昭和ドラマ」ブームは続きそうだ。