そして、ダークホースと見られている小泉進次郎氏は選挙応援の先頭に立って小池百合子・希望の党代表批判を展開した。禅譲期待のなせるわざだ。もちろん禅譲をちらつかせたうえで、“やっぱり続投する”という選択肢も残している。
五輪の栄誉も「安倍派」で独占する。安倍氏は首相を勇退すれば派閥領袖として政界に君臨し、東京五輪組織委員会会長にも就任、現会長の森喜朗氏は名誉会長に退くというシナリオが語られている。そして五輪開催年である2020年には次の都知事選が行なわれる。政治ジャーナリストの野上忠興氏が指摘する。
「都民の支持を失った小池百合子氏の再選はまず難しい。自民党は安倍派の丸川珠代・前五輪相を擁立して新都知事が誕生する可能性があるでしょう」
東京五輪開会式に安倍氏、森氏、丸川氏が“我が物顔”で並ぶ光景を国民は見たいだろうか。
しかも、あれほど批判を浴びた加計学園問題も選挙が終われば、「禊は済んだ」と疑惑はなかったことにされ、文科省が先送りしていた岡山理科大学の獣医学部新設を認可して予定通り2018年4月に新キャンパスが開校する可能性が高い。
まさに安倍首相とその仲間たちだけが、我が世の春を謳歌する未来図が浮かび上がってくる。
※週刊ポスト2017年11月3日号