15日から物語はついに昭和の時代へ突入。同作のモデルである吉本興業の創業者・吉本せいさんは、夫が亡くなったことで店を全て仕切ることになり、さらなる繁栄へと導いていきました。一方、『わろてんか』では、夫が亡くなるかはまだ分からないものの、「てんが北村笑店を取り仕切るようになるのは間違いない」と言われています。
つまり、てんは芸人たちを「ウチの子ども」とかわいがり、芸人たちはてんを「オレのお母ちゃん」と慕う母子のような関係性が出来上がるわけです。葵さんは、てんの公私両面で、どんな母親像を演じ分けるのでしょうか。
また、ほどなく戦争に突入するだけに、これまでの笑顔とは異なる厳しい表情を要求されるはずです。そんな苦しい状況で、てんは「わろてんか?」を貫き、葵さんは「女今太閤(豊臣秀吉)」と言われた吉本せいさんのような芯の通った姿を見せられるのでしょうか。
同じ「戦前戦後の女性実業家一代記」を演じた『あさが来た』(NHK)の波瑠さん、『とと姉ちゃん』(NHK)の高畑充希さんは撮影当時23~24歳だっただけに、葵さんが19歳で演じ切れば、絶賛を集めるでしょう。
ドラマ後半戦は、「女優・葵わかなの成長と今後の活躍を占う」という意味で、要注目なのです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。