芸能

『半分、青い。』で中村雅俊が示した「朝ドラ祖父役」の可能性

現在、67才の中村雅俊。仙吉はハマり役だった

 岐阜と東京を舞台に、失敗を恐れないヒロイン・鈴愛(永野芽郁)が七転び八起きしながら力強く生き抜く姿を描くNHK連続テレビ小説『半分、青い。』。先週の放送では、中村雅俊演じる鈴愛の祖父・仙吉が亡くなるシーンが放送され、視聴者の涙を誘った。週明け20日の放送では、仙吉がナレーションに再登場したことが大きな話題となった。注目を集め続ける祖父・仙吉について、コラムニストのペリー荻野さんが考察する。

 * * *
 そんなわけで、『半分、青い。』では、ヒロイン鈴愛の祖父・仙吉(中村雅俊)が急逝。ひ孫とのんびり昼寝をしている最中の大往生だったが、やっぱり姿が見えないのはさびしい。突っ走ったり、コケたり、ぼんやりしたりする鈴愛をあのたれ目で温かく見つめ、時には「人間は、強い」などとしみじみした言葉で励ましてくれたお祖父ちゃん。戦前は楽器店に勤めていたという設定で、ギターを持ち出して歌っちゃうというのも新しかった。
 
 思えば、仙吉の活躍には、ふたつの意味が見て取れる。ひとつは「中村雅俊お祖父ちゃん解禁!」ということ。中村雅俊といえば、70年代、『われら青春!』や『俺たちの旅』など日テレの青春ドラマの顔として活躍。刑事ドラマでは文学座の先輩・松田優作と共演した『俺たちの勲章』、大河ドラマでは『花神』で若き高杉晋作役で人気を博した。歌手としても『ふれあい』をヒットさせ、コンサートツアーも精力的にこなすなど、若々しさはずっと変わらない。これまで父親役では前田敦子が娘になった時代劇『あさきゆめみし』(NHK)などがあったが、この『半分、青い。』でついに本格的に祖父役で老けを表現してみせたのだった。
 
 俳優の中には、年相応に役柄を変化させていくタイプと、永遠にイメージをキープし続けるタイプがある。後者の代表が田村正和や加山雄三で、中村雅俊もこちらだとばかり思っていたが、ここへきて、祖父役解禁。なんだかとても楽しそうに見えた。次にどんな「老け」で出てくるのか、注目である。

 仙吉人気のもうひとつの意味は、朝ドラで新タイプの祖父役ブレイクの例を作ったということだ。朝ドラでは、ヒロインの相手役がブレイクするのは恒例になってきたが、もうひとつ、「お父さん役俳優がブレイクする」という現象がしばしば起きた。70年代では『雲のじゅうたん』の中条静夫(後にドラマ『あぶない刑事』シリーズの課長役でも人気に)、80年代では『はね駒』の小林稔侍、90年代には『ふたりっ子』の段田安則もいる。

 一方、近年は、祖父役も少しずつ存在感が大きくなってきた。『あまちゃん』の祖父忠兵衛(蟹江敬三)は遠洋漁業の現役漁師だったし、『花子とアン』の石橋蓮司は、役名が『赤毛のアン』でアンを育てたマシューにちなんで周造で、口数が少ないキャラもよく似ていた。

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト