国内

天皇や皇族方の和歌御相談役が語る「歌人としての天皇」

皇室に伝わる和歌の伝統行事「歌会始」 共同通信社

 古来日本人は、わずか31音の定型詩・和歌で心の中にある「まことの思い」を詠んできた。その伝統の核に、天皇がいる。宮内庁御用掛として昭和天皇、今上天皇や皇族方の和歌の御相談役を務めた歌人、岡野弘彦氏が、「歌人としての天皇」を語る。

 * * *
 この世の始めの時、中空にかかった天の浮橋で、男女二体の祖神がこんな言葉を語り合った。

「あなにやし えをとこを」(ああ、なんとすばらしい男でしょう)
「あなにやし えをとめを」(ああ、なんとすばらしい女だろう)

『古事記』の中、創世の神のイザナギとイザナミが「原初の歌」を交わして神や国土が生まれる場面である。簡潔だが深い愛情を込めた、細やかな神の言葉から日本は始まった。

 これ以降、言葉は物を生み出し、願いを現実化する力を持った。現在にいたるまで、日本人は心の中にある「まことの思い」を和歌で表現する伝統を持つ。こうした古代の言葉が孕む霊的な力を最も濃密に受け継ぐのが天皇の歌の伝統である。

 古の時代、年の初めに天皇が土地の生産を祝福する歌や、活力に富んだ恋の歌を力強く朗々と歌うと、人々をはじめ家畜や穀物が豊かな生産力を持つようになると信じられた。この呪的な力から和歌が生まれ、はるか後世まで、新年の歌会始が恒例行事となった。

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン