芸能

戸田&ムロ、石原&峯田、なぜ「美女と野獣」ドラマが続く?

戸田&ムロの共演が話題に(『大恋愛~僕を忘れる君と』HPより)

 ドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)が戸田恵梨香とムロツヨシによる恋愛ものとして話題を集めているが、最近、美男美女の組み合わせではなく、このドラマのように「美女と野獣」カップルによる恋愛ドラマが続いている。いったいなぜか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんがその背景について解説する。

 * * *
 先月まで、美人華道家と冴えない自転車店主の恋を描いた『高嶺の花』(日本テレビ系)が放送されていました。同作で話題になったのは、美人華道家・月島ももを演じた石原さとみさんと、冴えない自転車店主・風間直人を演じた峯田和伸さんのビジュアル格差。「まさに美女と野獣」「この組み合わせはアリなの?」「イケメンで見たかった」などのさまざまな声が飛び交っていました。

 10月に入って新たなドラマが次々にはじまる中、「美女と野獣、再び」という声が挙がっているのが、『大恋愛~僕を忘れる君と』。同作は戸田恵梨香さんが演じる美人女医・北澤尚と、ムロツヨシさんが演じる引越しアルバイト・間宮真司のラブストーリーです。

 ちなみに『高嶺の花』のももは29歳で直人は39歳、『大恋愛』の尚は34歳で真司は41歳の設定。見た目だけでなく年齢にも差をつけることで、「美女と野獣」のムードを高めようとしている様子がうかがえます。

 2010年代に入って恋愛ドラマそのものが少なくなる中、主要ドラマで「美女と野獣」の設定はほぼありませんでした。ここにきて「美男と美女」を避け、「美女と野獣」の設定が続いた理由は何なのでしょうか。

◆大御所脚本家が仕掛ける枷

 理由として真っ先に挙げたいのは、脚本家の思惑。『高嶺の花』は野島伸司さん、『大恋愛』は大石静さん、経験・実績とも申し分のない大御所脚本家の作品です。

 2人はこれまで多くの恋愛ドラマを手掛けてきましたが、そのほとんどで男女の間に何らかの「枷」を設定してきました。枷の最たるものは格差であり、なかでも「美女と野獣」のような見た目は純愛ムードを高めるものです。

 言い換えれば、作り手が純愛を描きたいとき、「美男と美女」よりも「美女と野獣」のほうが視聴者への訴求度が高くなるということ。たとえば、「美男と美女」のキスシーンは美しいものの自然な姿という印象に留まりますが、「美女と野獣」のそれは違和感とともに純愛を感じさせます。実際、『高嶺の花』のももと直人のキスシーンは、大きな反響を集め、純愛のムードを高めました。

 さらに、交際期間を経て別れたときの悲劇性は「美男」より「野獣」のほうが高く、応援の声が上がるなど、さらに純愛ムードが盛り上がっていきます。『高嶺の花』だけでなく、古くは『101回目のプロポーズ』(フジテレビ系)などでも、同様の展開が見られました。

 もともと「美女と野獣」という設定は何度も描かれてきたものであり、その他の「格差」、不倫などの「禁断」、命の危険がある「難病」と並び、恋愛ドラマにおける定番の枷。特に大御所脚本家ほど、定番の枷に忠実な傾向が見られます。

 今秋スタートの『中学聖日記』(TBS系)は教師と生徒の恋、『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』(フジテレビ系)は既婚者の不倫。ともに「禁断の恋」であり、「格差恋愛」や「難病の恋」とともにパターン化していることが、ドラマ業界の課題とも言えます。

◆新垣結衣の『逃げ恥』『けもなれ』も同カテゴリー

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン