ただ、「美女と野獣」の恋愛ドラマは、「キュンキュンしない」「生理的に無理」などの否定的な声を避けられないのが現実。そんな否定的な声を感動や共感に変えるのは、見た目の差を利用した純愛であり、それこそが大御所脚本家にとって腕の見せどころです。

 その点、『大恋愛』の大石静さんは、初回から「さすが」と思わせるものがありました。「婚約者のいる『美女』の尚が、『野獣』の真司と出会ってすぐ好きになり、猛アタックする」という意外な展開だったのです。これは「つらい過去を持つ『美女』が、『野獣』の優しさにふれることで徐々に距離が近づき、恋に落ちる」というお約束の展開とは真逆であり、今後に期待を抱かせました。

 少し広くとらえると、現在放送中の『獣になれない私たち』(日本テレビ系)に出演する新垣結衣さんと松田龍平さんのコンビも、「美男と美女」というより「美女と野獣」のカテゴリーに近いと言っていいでしょう。同様に、新垣結衣さん主演の『逃げるは恥だが役に立つ』も、相手役の星野源さんに「野獣」のイメージこそありませんが、いわゆる「美男」ではないことが純愛ムードを高めていました。

 ドラマ以上に好感度が重要なCMでも、「美男と美女」より「美女と野獣」の夫婦設定が定番化していることもあり、今後もこの傾向は年に数本程度のペースで続いていくのではないでしょうか。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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