〈なんで自分がターゲットになっているのかと考えてみると、青林堂というネトウヨの人たちが大好きな本を出す出版社で起きた労働事件を担当していることに思い当たりました。その労働者がひどいパワハラを受けていたので、記者会見に私が同席したりしていたのです〉
佐々木さんは、懲戒請求した男性としゃべったところ、とんでもないやり取りになったようです。『AERA dot.』(週刊朝日オンライン限定記事)には以下の記述があります。
〈「ところで、なんで私を懲戒請求したの?」(佐々木氏)
「名前があったので、申し訳ありません」(男性)
「でも、私は朝鮮学校のことなんて何もやってないよ?」(佐々木氏)
「えっ?」(男性)
「えっ?」(佐々木氏)〉
橘:いったん「敵」と認定したら、あとは無差別なんですね。
中川:はい。けしからん反日の奴は数の力で追い込むのが正義であるという話なんですよ。
橘:それって、自分たちが匿名の存在で、社会的にはほとんど力をもっていないことが分かっているからじゃないでしょうか。彼らが大嫌いなリベラル系の政治家も、選挙区で多くの票を獲得して国会に出てきている。それに対抗するにはとにかく数を集めなきゃいけないということになって炎上させようとし、それがうまくいかないと逆に不安になる。
中川:だと思います。
◆立ち位置と党派性を明確にして生き残りをはかる政治家
橘:嫌韓反中や、“朝日ぎらい”であれだけ盛り上がれるのは、数が集まって「俺たち」を実感できるからですよね。『新潮45』(現在は休刊)誌上で展開された杉田水脈氏の「生産性」発言の場合は、保守派の論壇でも支持者がほとんどいなかったから、どういう理屈で「正義」を振りかざせばいいかわからなかった。「表現の自由」だけじゃさすがにデモを動員できないので、失速したんじゃないでしょうか。