このように、デイリーは来日前後のあまり情報がない段階で、関係者取材による「太鼓判」記事を毎年のように綴っている。いわば、恒例行事である。この程度であれば、ファンは「阪神贔屓のデイリーだからな」で済ませられる。3選手の成績を振り返ってみよう。
マット・ヘイグ(2016年)/31試合/2割3分1厘/2本塁打/11打点
エリック・キャンベル(2017年)/21試合/1割9分1厘/1本塁打/5打点
ジェイソン・ロジャース(2017年)/40試合/2割5分2厘/5本塁打/23打点
いずれも、1シーズン限りで解雇されている。彼らはこの記事以外に、見出しで“太鼓判”を押されていない。デイリーも来日前後は期待するが、意外と冷静に判断している。
◆ラーメンとチャーハンで適応力がわかる?
だが、昨年デイリーが「太鼓判」を押しまくった選手がいた。あのマイク・グリーンウェルを超える新外国人1年目の球団史上最高年俸3億4000万円で迎えられたウィリン・ロサリオである。韓国・ハンファで2年連続3割、30本、100打点以上をマークした彼は、記事の見出しと文中を合わせ、11回もの「太鼓判」を押されていた。
キャンプが始まる前、デイリーはまずこう書いた。
見出し:ロサリオ一塁守備に高代コーチ太鼓判 昨年沖縄Cで“初遭遇”昨季映像も確認(2018年1月14日)
この記事は、高代延博コーチが前年の沖縄キャンプ中に古巣の韓国・ハンファを訪れて1日だけロサリオを見たこと、昨季の守備を映像で確認したことを元に構成されており、少々無理がある。文中では〈一塁守備に及第点を与えた〉とだけ書かれているのに、見出しでは「太鼓判」に飛躍している。過去の新外国人選手と同様、オフの恒例記事に見えた。
だが、この2週間後、ロサリオが来日すると、読者は驚愕の見出しを目にすることになる。
見出し:ロサリオ 適応能力高いデ!いきなり豚骨ラーメンとチャーハン食べた(1月29日)
記事内:谷本球団本部長は「真摯(しんし)に取り組む選手だと聞いているので、金本タイガースにぴったりだと思います」と日本での成功に太鼓判を押す。