しかし、よく見ると、ある傾向が浮かび上がってくる。4位・広島の的中者は狩野恵輔(阪神)、彦野利勝(中日)。6位・ヤクルトの的中者は山田久志(阪急)、和田一浩、川又米利、岩瀬仁紀、立浪和義、今中慎二(以上、中日)になる。
2002年から約2シーズン、中日の監督を務めた山田久志を含めれば、8人中7人が中日在籍経験者で、5人は生え抜きのまま現役を終えた元選手である。なぜ、彼らはこのような予想をできたのか。
順位予想をする場合、評論家は古巣に甘くなりがちな傾向がある。狩野は阪神を1位に、彦野、川又、岩瀬は中日を3位に、立浪、今中は中日を4位に挙げている(生え抜きではない山田と和田は5位予想)。つまり、現役時代の所属球団を他の評論家よりも上に挙げたため、必然的に広島やヤクルトの順位を下げざるを得なかったという見方もできる。
全75人の平均的中率は1.05。ゼロ的中は梨田昌孝(近鉄)、小早川毅彦、安仁屋宗八(ともに広島)など19人。そのうち13人は広島を優勝予想にしていた。狩野と同じく阪神を優勝予想した吉田義男、藤田平(ともに阪神)は1つも当たらなかった。
1つ的中は秋山幸二(西武)、里崎智也(ロッテ)、岩本勉(日本ハム)など34人。ここには張本勲、堀内恒夫、村田真一(いずれも巨人)など古巣を優勝に推した巨人OB9人が入っている。
2つ的中は野村克也(南海)、桑田真澄(巨人)、佐々木主浩(横浜)など21人。ここには前述の和田一浩、川又米利、彦野利勝、狩野恵輔も含まれる。
75人中、最も的中させたのは山田久志の3つ。予想は1位・巨人、2位・広島、3位・DeNA、4位・阪神、5位・中日、6位・ヤクルトで、1位、5位、6位を当てた格好だ。シーズン終盤の残り数試合まで2~4位は流動的だったため、全的中の可能性もあった。監督を務めた中日に私情を無理に挟まなかったことも、的中率の高さに繋がったのかもしれない。
●文/岡野誠:ライター・データ分析家・芸能研究家。研究分野は松木安太郎、生島ヒロシ、プロ野球選手名鑑など。著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)が話題に。同書は『ザ・ベストテン』(TBS系)の詳細データや田原俊彦の1982年、1988年の全出演番組を視聴率やテレビ欄の文言などとともに記載しており、巻末資料を読むだけでも1980年代の芸能界が甦る。