大嘗宮で行う儀式は、大きく「悠紀殿供饌の儀」と「主基殿供饌の儀」に分かれる。皇室研究者の高森明勅さんが話す。
「大嘗宮の東側に『悠紀殿』、西側に『主基殿』が建てられます。儀式は悠紀殿、主基殿の順にそれぞれの建物で行われます。天皇陛下は、まずは北側の『廻立殿』に入られ、心身を清める『潔斎』の後、最も格式高い神事服とされる真っ白な『御祭服』に着替え、儀式に入られます。
悠紀殿、主基殿に入られない皇后さまは、廻立殿に入られて純白の十二単に着替えられ、南側の『帳殿』で拝礼をされます」
悠紀殿での儀式を終えると、天皇陛下は廻立殿に戻り、再度潔斎を行い、新しい御祭服に着替えられるという。
「潔斎や着替えだけでかなり時間がかかるうえ、儀式は明け方まで続きます。朝からの準備の時間も含めると、この日は陛下に休む時間はほとんどありません」(高森さん)
儀式を待つ参列者も“過酷”だ。
「前回の平成の時は、本殿前にある『幄舎』に700人ほど参列者が集まりましたが、夜中の寒さもあって、主基殿の儀式まで残っていたのは500人ほどだったそうです」(高森さん)
神聖な儀式であるがゆえに、これだけの大仕事になるのだ。
※女性セブン2019年11月28日号