「西郷どん」の鈴木亮平と二階堂ふみ(共同通信社)
秀吉をテーマにした作品では、竹中直人演じる『秀吉』(15位・1996年)も人気が高かったが、こちらも主役以上に注目が集まったのは信長だった。
「渡哲也の、言葉ではなく表情だけで相手を震え上がらせるような雰囲気はさすが。本能寺の変で『神が死ぬか!』と叫びながら刀で首元を切るシーンには息を飲んだ」(55歳会社員)
大河ドラマといえば、その時代をどう描くかにも注目が集まる。『秀吉』の時代考証を担当した、歴史学者で静岡大学名誉教授の小和田哲男氏がその舞台裏を語る。
「『秀吉』では、洪水によって石垣が壊れた清洲城を秀吉が修理するシーンが出てくる。修理箇所を10箇所に分けて作業員を競わせ、工事の効率を上げるという秀吉の切れ者ぶりを表わすエピソードですが、『信長時代の清洲城に石垣はない』ことをNHK側に伝えたところ『土塁や土塀では迫力が出ない』と。議論した末、『将来的には石垣が発掘される可能性もある』として私が妥協する形になりました(笑い)」
史実と創作のせめぎ合いが名シーンを生んだ。
◆『龍馬伝』の映像革命
大河には女性の存在も欠かせない。女性が初めて単独の主人公となった佐久間良子主演の『おんな太閤記』(14位・1981年)、大原麗子の代表作ともなった『春日局』(19位・1989年)など、女性が単独主人公の大河は10本あるが、その中で最も支持を集めたのは宮崎あおい主演『篤姫』(4位・2008年)だ。
「篤姫に会えないまま、夫の徳川家定(堺雅人)が息を引き取る場面は、夫婦でティッシュを奪い合いながら見ていた」(54歳会社員)